ミストコレクターで「蒸気」を吸引する場合の課題と対策|モーター故障を防ぐ方法

ミストコレクター
アイコン 投稿日: 2022/2/28 アイコン 更新日: 2026/4/14

工作機械を稼働させていると、どうしても製造工程の中で粉塵やオイルミストなどが発生してしまいます。

そのため、ミストコレクターを設置することで、これらを吸引・除去し、換気扇や製造用機械の故障を防ぐことが必要です。

しかし、ミストコレクターで「蒸気」のような粒子の細かい気体を捕集することは、本当に可能なのでしょうか?

本記事では、ミストコレクターが蒸気を捕集できるのか、蒸気に関する問題が起きる原因と対策について詳しく解説していきます。

ミストコレクターで蒸気は捕集できるか?という疑問の解説。白く立ち込める蒸気の写真を背景に、その原因と対策を完全解説することを示すアイキャッチ画像。

1. ミストコレクターってどういう装置?

基本機能と役割
そもそも、ミストコレクターは、工場内で金属部品を切削加工する際に切削油を使用することで発生する「オイルミスト」を吸引・除去するための機器です。

オイルミストは、工作機械で切削時に使用される潤滑油が、機械の稼働によって飛散されることにより生じ、微粒子化して空気中に浮遊した霧状の油のことを指します。

ミストコレクターの役割
ミストコレクターはこれらを吸引・除去し、清浄化した空気を排気します。
こうすることで、以下のメリットが生まれます。

ミストコレクター導入のメリット:

  • 従業員を健康被害から守る
  • 工作機械や制御機器の劣化を防ぐ
  • 作業環境を清潔に保つ
  • 周辺機器の故障リスクを低減

つまり、ミストコレクターは「オイルミスト除去」を目的に設計されているということが重要なポイントです。

2. ミストコレクターで「蒸気」を吸引できるのか?

結論:完全な捕集は困難
ミストコレクターは本来、蒸気を吸引捕集する装置ではないため、通常の方法では、蒸気を完全に捕集することが難しいことがあります。

蒸気が捕集困難な理由
水蒸気などの蒸気は、油分が混じっているオイルミストや油煙よりも粒子が更に細かいためです

具体例:温水洗浄機の場合
温水洗浄機にミストコレクターを使用する場合、以下のような現象が起きます。

STEP 1
高温水蒸気が発生
STEP 2
フィルターや捕集ユニットを通過
STEP 3
外気で冷却・再結露
RESULT
十分な捕捉ができない可能性

つまり、蒸気の粒子が細かすぎて、通常のミストコレクター構造では効果的に捕集できないのです。

対策で捕集効率を改善可能
ただし、対策を施せば捕捉効率を改善することは可能です。

捕集効率改善の対策方法:
対策の1つとして、二次空気を取り込むことにより、強制的に結露させることで捕捉効率を改善する方法があります。

具体的な施工方法:
洗浄機とミストコレクターの配管部にT型分岐管を設置し、外気の吸入量を調整できるように手動ダンパーを取付け、できるだけ多くの外気を取り入れます。

洗浄機とミストコレクターの間にT型分岐管と手動ダンパーを設置し、二次空気を取り込んで蒸気を冷却する配管構成図
※取付の一例

捕捉効率を上げるポイント
蒸気対策を施す際には、以下のポイントを押さえましょう。

蒸気捕捉効率改善の5つのポイント:

ポイント 内容
外気の比率が多いほど効果が高い 二次空気をできるだけ多く取り入れることで冷却効果が向上
ミストコレクターまでの配管は長いほど効果が高い 配管が長くなるほど蒸気冷却の時間が増加
放熱効果の高い配管材料ほど効果が高い アルミ製フレキシブルダクトなど放熱性能に優れた材料を選択
二次空気取込口は上向きに設置すること 外気が効果的に混入される設置方向が重要
停止時に配管内の結露ドレンが外部に出ないようにする ドレン逆流防止のための仕構みが必要

現実的な限界を理解する
このような対策を行うことで、ミストコレクターで蒸気の捕捉効率を改善することができます。

ただし、本来の使用用途とは異なるため、完璧を求めるのはやめましょう

蒸気対応は「完全な捕集」ではなく「改善」という認識を持つことが大切です。

3. 「蒸気」を吸引することで起こりうる問題とは?

工場内で発生した蒸気をミストコレクターが吸入することで、以下のような深刻な問題が起こりえます。

蒸気吸入による主な問題:

  1. 蒸気が原因でモーターが錆びて故障する
  2. 高温の水蒸気を吸入しすぎて故障する

ミストコレクターの調子が悪い、もしくは原因不明の故障で困っている方は、以下のケースに当てはまるかどうか比較してみてください。

3-1. 問題1:「蒸気」が原因でモーターが錆びて故障する

問題の発生メカニズム:
ミストコレクターで蒸気を日常的に吸引していると、蒸気がモーター内部に入り込みます。
その結果、以下のような連鎖が起きます:

蒸気がモーター内部に進入
蒸気が水分に変わる(結露)
モーター内部が湿潤状態になる
鉄部分が錆びる(酸化反応)
モーター性能が低下
モーターに過剰な負荷がかかる
モーター内部の回転が悪くなる
RESULT
最終的にはモーターが焼損し、動かなくなる

3-2. 問題2:高温の「蒸気」を吸入しすぎて故障する

吸入可能温度の重要性:
ミストコレクターには、処理できる「吸入可能温度」というものがあります。

ミストコレクターがこの吸入可能温度を超えた温度の水蒸気を吸入し続けると、故障しやすくなってしまいます。

一般的な吸入可能温度:

温度基準 詳細
最高吸入可能温度 最高でも75℃程度が目安
商品による差 ミストコレクターの種類・メーカーで異なる
超過した場合 内部部品の劣化、ゴムシール硬化など故障リスク増加

高温蒸気対策の必要性
高温のままで未処理の蒸気をミストコレクターが吸入し続けることで、故障してしまいます。

高温蒸気吸引時の必須対策:
ミストコレクターで高温の蒸気を吸引する場合は、先ほどの「二次空気を吸わせる」などの冷却を行い、「吸入可能温度」まで下げる必要があります

具体的には:

  • 配管を長くして自然冷却
  • 冷却ファンを追加して強制冷却
  • 二次空気取込口で外気を混入
  • 断熱材で配管を保温し、徐々に冷める環境を作る

などの対策が有効です。

4. モーターの錆を防ぐ工夫が施されたミストコレクター

当社製品の蒸気対策
赤松電機製作所のミストコレクターは、モーター内部に蒸気が進入しないよう様々な工夫が施されています。

オニカゼ ヘビースモーカー(HVS)の工夫

羽根車の裏側に別の羽根を装備

  • 外気をミストコレクター内に吸入させることにより、ミストコレクター内部の気体、ミストをモーター側に進入しないようにしています
  • これにより、モーター周囲を相対的に乾燥状態に保ちます
油煙やオイルミストに対応するミストコレクターHVSの製品外観

PRODUCT MOVIE

油煙やオイルミストが発生する現場に対応する、HVSシリーズの紹介動画です。

約30秒で特長をご覧いただけます。

オニカゼ スマートミストマジック(SMG-R)の工夫

モーターの軸貫通部にオイルシールを装備

  • 軸貫通部はモーター内部に最も蒸気が進入しやすい箇所です
  • オイルシールを装備することで、この進入経路を遮断
  • モーター内部にミストコレクター内部のミスト等を進入しないようにしています
省エネ性に優れたミストコレクターSMGの製品外観

PRODUCT MOVIE

消費電力の削減やCO2排出量の低減を重視する現場に向けた、SMGシリーズの紹介動画です。

約30秒で特長をご覧いただけます。

オニカゼ スマートミストゼロ(SMX)の工夫

複合的な蒸気対策

  • 新開発の「ロータリーマジック」機構により、蒸気を含むミストの分離効率を最大化
  • 高度なシーリング技術でモーター内部への進入を最小化
  • スマートインターフェイスで蒸気関連のトラブルを早期検知可能
微細なオイルミスト対策に対応するミストコレクターSMXの製品外観

PRODUCT MOVIE

微細なオイルミスト対策や、メンテナンス負担の軽減を重視する現場に向けた、SMXシリーズの紹介動画です。

約30秒で特長をご覧いただけます。

5. ミストコレクターで「蒸気」を吸入する際の選定基準

ミストコレクターを蒸気吸引用途で選ぶときの基準は、以下の通りです。

選定時の重要な確認項目

ミストコレクター選定時の5つのチェック項目:

  1. 洗浄温度
  2. 洗浄液のPH
  3. 洗浄機の加工室容積
  4. 洗浄ワークに付着している液体
  5. その他特殊な環境要因

1. 洗浄温度の確認と対策

重要性:
工場で使用している機械の洗浄温度が高い場合は、吸入可能温度が高いミストコレクターを選ぶ必要があります。

具体的な対応方法:

  • 吸入可能温度が高いモデルを選択:75℃以上対応のモデルを探す
  • 蒸気の温度を下げる対策を施す:冷却機能付きの配管、二次空気導入など

H3:2. 洗浄液のPH確認と耐性の選定

重要性:
工場内で洗浄液を使用している場合は、洗浄液のPHによって発生する蒸気が酸性かアルカリ性かがわかります。

具体的な対応方法:

  • 洗浄液のPHを事前に確認
  • 耐性がある素材や作りのミストコレクターを選ぶ

例えば:

  • 酸性洗浄液の場合:ステンレス製や耐酸性素材の機体を選択
  • アルカリ性洗浄液の場合:耐アルカリ性素材の機体を選択

H3:3. 加工室容積の把握

重要性:
加工室の容積の大きさは、ミストコレクターを決定する上で重要な基準となります。

具体的な対応方法:

  • 加工室の(幅)×(奥行き)×(高さ)を正確に測定
  • 必要処理風量を計算し、適切な能力のモデルを選択

H3:4. 洗浄ワークに付着している液体の確認

重要性:
工場の洗浄機械に何が付着しているか、どのような液体が使用されているかで、ミストコレクターへの負荷が大きく変わります。

具体的な対応方法:

  • ワークに付着している液体の種類を確認
  • 対応するミストコレクターを選択

H3:5. 危険物使用時の特別な注意

警告:有機溶剤・石油系液体の場合
工場の洗浄機械に有機溶剤や石油系の液体が使用されている場合は、注意が必要です。

危険性:

  • ミストコレクターに、引火してしまう危険性がある
  • 静電気による火花が発火源になる可能性

対応方法:

  • 防爆型ミストコレクターの使用を検討
  • 爆発防止機構付きのモデルを選択
  • 事前に安全性について当社に相談

6. まとめ|蒸気吸引時のミストコレクター選定と運用

今回は、ミストコレクターで蒸気を吸引する場合の課題と対策について詳しく解説しました。

ミストコレクターの本来用途の確認

改めて整理すると、ミストコレクターは、金属部品を切削加工する際に切削油を使用することで発生するオイルミストを吸引・除去するための機器です。

蒸気対応は「本来用途の拡張」であることを理解することが重要です。

蒸気吸引時の重要ポイント
洗浄機などで発生する蒸気を吸引する場合は、以下の点に注意が必要です:

蒸気吸引時の重要ポイント:

  1. モーター故障のリスク:蒸気によるモーター錆びや焼損のリスクがある
  2. 吸入可能温度の確認:必ず吸入可能温度を確認し、超過しないようにする
  3. 冷却対策が必須:蒸気の温度を吸入可能温度まで下げる必要がある
  4. 化学的腐食への対応:洗浄液のPH・成分に対応した素材選定が重要
  5. 危険物対応:有機溶剤使用時は防爆型の選定が必須

適切な対策による改善

二次空気を取り入れるなどの対策をしっかり行い、作業環境の改善に努めましょう

当社では、蒸気対応が必要な用途について、個別相談を受け付けています。

赤松電機製作所のミストコレクター製品
赤松電機製作所が展開する『ONIKAZEミストコレクター』は、様々な加工条件・蒸気対応を考慮し、3種類の充実したラインナップをご用意しています。

PRODUCT LINEUP

オニカゼ ミストコレクターラインナップ

油煙・オイルミスト対策の主力3シリーズを、用途別に比較しやすく整理しました。

OIL SMOKE & MIST

ヘビースモーカー(HVS)

油煙対応で高捕集。

油煙やオイルミスト対策に対応するオニカゼ ヘビースモーカー HVS の製品外観

油性切削油や油煙を伴う環境に適したシリーズです。

ENERGY SAVING

スマートミストマジック(SMG)

省エネと負担軽減。

省エネ性とメンテナンス性を重視したオニカゼ スマートミストマジック SMG-R の製品外観

消費電力とCO2削減など環境問題に対応したシリーズです。

FINE PARTICLE CONTROL

スマートミストゼロ(SMX)

限りなくメンテナンスレス。

超微細粒子の捕集に対応するオニカゼ スマートミストゼロ SMX の製品外観

高捕集とメンテ負荷軽減を実現したシリーズです。

縦画面では横にスワイプしてご覧いただけます

蒸気吸引に関するご相談、ご不安な点がある場合は、以下のページからお気軽にお問い合わせください。

当社の技術スタッフが、お客様の具体的な用途に応じた最適なソリューションをご提案させていただきます。

▲HVSでドライアイス吸ってみた!【赤松電機製作所】

監修者プロフィール

経営企画室/インサイドセールス

倉津 裕太

赤松電機製作所に入社後、営業部にて西日本エリアを担当し、切削・研削現場におけるミスト対策、溶接現場におけるヒューム対策の提案営業に従事。
現在は経営企画室 /インサイドセールスとして、製造業の現場課題に対する情報提供を行うとともに、脱炭素経営PROJECTにも参画。
現場と経営の両視点から、ミスト・ヒューム対策や省エネを含めた工場環境改善に関する、導入検討に役立つ実務情報を発信している。

ミストコレクター・
ヒュームコレクター・電動送風機
のことなら
お気軽にご相談ください。

カタログダウンロード

ダウンロードはこちら