「ミストコレクター」とは?3つの種類と設置方法を完全解説【導入ガイド】

ミストコレクター
アイコン 投稿日: 2022/1/7 アイコン 更新日: 2026/4/2

マシニングセンターやNC旋盤を使用している工場では、**「ミストコレクター」**という装置が重要な役割を果たしています。しかし、具体的にどのような役割を担い、どの種類を選べばよいのか、設置方法にはどのような選択肢があるのかについて、正確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。

実は、ミストコレクターの選択や設置方法を誤ると、従業員の健康被害や設備故障、さらには火災リスクなど、深刻な悪影響をもたらす可能性があります。そこで本記事では、ミストコレクターの基礎知識から、3つの種類と3つの設置方法、さらに最適な選択方法まで、工場経営者や現場責任者が押さえるべき内容を、図解を交えて詳しく解説していきます。

ミストコレクターの種類・設置方法・選び方を解説する導入ガイドのアイキャッチ画像

ぜひ、本記事を参考に、自社の工作機械に最適なミストコレクター選びの一助にしてください。

1. ミストコレクター(オイルミスト除去装置)とは?

ミストコレクターとは、工作機械での切削時に発生する「オイルミスト」を吸引・除去できる装置です。言い換えれば、工場環境を守るための必須設備と言えます。

工作機械に使用される切削油や潤滑油が、機械の高速稼働によって微細な霧状に飛散する現象がオイルミストです。このオイルミストを放置すると、作業員の健康、作業環境、機械設備そのものに対して多大な悪影響を引き起こします。

ミストコレクターを導入し、工場環境が改善されると、以下のような複合的なメリットが生まれます。

  • 従業員の健康維持と疾患予防
  • 転倒・滑落などの労働災害防止
  • 離職率の低下による人員安定化
  • 作業効率の向上と生産性の増加
  • 機械設備の故障リスク低減
  • 冷暖房効率の改善とエネルギーコスト削減

特に、ミストコレクターで回収できるオイルミストに含まれる油分が、周囲の機械や機器に付着すると、ショートや腐食を引き起こす可能性があるため、確実な除去が必須です。

オイルミストで汚れている工場の様子。工場内の床や天井、機械が油で汚れており、作業員が「工場がくもってるよ。」と困っている状況を示すビフォー画像
ミストコレクター導入後、工場がきれいに改善された状況。工場内が明るく清潔になり、作業員が「きれいになった!!」と満足している様子を示すアフター画像

2. オイルミスト(油霧)が引き起こす3つの悪影響

ミストコレクターの重要性を正しく理解するためには、まず「オイルミスト」とは何か、そしてそれが何をもたらすのかを把握することが重要です。

オイルミストとは、微粒子化して空気中に浮遊している油霧のことです。工作機械に使用される切削油が、機械の稼働によって飛散される現象により生じます。特に、高圧給油加工、高速切削、研削加工といった条件で多量に発生する傾向があります。

このオイルミストがもたらす悪影響は、大きく3つに分類できます。

2-1. 人体への影響|従業員の健康被害

オイルミストを長期間吸引したり、目に入ったり、皮膚に付着したりすることで、以下のような健康被害が起こり得る可能性があります。

主な健康被害:

  • 肌荒れなどの皮膚疾患や湿疹
  • 鼻や喉の痛み、呼吸器系の疾患
  • 目の充血やドライアイ
  • 頭痛や吐き気などの全身症状

特に呼吸器系への長期的な影響は深刻で、オイルミストの常時吸引は、従業員の離職や労務トラブルの原因となることもあります。

2-2. 作業環境への影響|労働災害と作業効率低下

オイルミストは、工場全体の作業環境を著しく悪化させます。

具体的な環境問題:

  • 視界不良により作業ミスや事故のリスク増加
  • 天井面からの油滴滴下による汚染
  • 床面への油分付着に伴う転倒・滑落などの労働災害
  • 工場内備品や製品の汚染による品質低下
  • 作業スペースの汚れによる効率低下と衛生管理コストの増加

これらの環境悪化は、従業員のモチベーション低下や作業効率の低下につながり、長期的には企業の競争力に影響を及ぼします。

2-3. 機械・設備への影響|コスト増加と故障リスク

製品製造を支える機械設備にも、深刻な悪影響が出ます。

機械への被害:

  • 電子機器への油分付着によるショートや機能不全
  • 金属・樹脂部分の腐食と劣化加速
  • 空調機等の設備故障(フィルタ詰まりによる効率低下)
  • 冷暖房エネルギーの無駄消費と空調コストの大幅増大

このように、オイルミストは機械設備の長期的な故障リスクを高め、 修理費用や運用コストの増加につながるため、導入初期段階からの ミストコレクター設置が重要です。

オイルミストの悪影響と対策を示す比較図

”オイルミスト”の悪影響とは?人体・環境など3視点で解説!

3. ミストコレクターの3つの種類を比較検討

オイルミストを除去できることを理解したら、次にミストコレクターの種類について学ぶ必要があります。

ミストコレクターは、オイルミストの油分を除去する構造によって、主に3つの種類に分けられます。それぞれに異なる特徴があるため、自社の工作機械の仕様や加工条件に合った最適なモデルを選ぶことが重要です。

3-1. フィルター式|最も一般的で導入しやすい方式

特徴:
フィルター式は、最も一般的で普及している方式です。ファンによって吸い込まれたオイルミストの油分を、フィルターを通してろ過します。捕集したオイルミストは、フィルターを通過し、ミストコレクター下部にあるドレンホースから油分として排出される仕組みです。

メリット デメリット
構造がシンプルで初期費用が比較的安い フィルター交換を怠ったり、粉塵成分が多かったりすると目詰まりしやすい
現場での管理が容易で保守性に優れている フィルターの通気抵抗が高いため、電動機の消費動力が大きくなる
安全性が高く、操作が簡単 交換後の使用済みフィルターは産業廃棄物となり、廃棄費用が継続的に発生

【赤松電機製作所】オニカゼ ヘビースモーカー(HVS)

油煙やオイルミストに対応するミストコレクターHVSの製品外観

PRODUCT MOVIE

油煙やオイルミストが発生する現場に対応する、HVSシリーズの紹介動画です。

約30秒で特長をご覧いただけます。

一般的なミストコレクターの捕集対象外である油煙を捕集できるファイナルフィルターを標準搭載しているため、ミストだけでなく油煙まで捕集が可能です。また、ONIKAZE独自の段階的捕集構造により、従来のフィルター式のデメリットである目詰まりのしやすさを大幅に軽減しています。

3-2. フィルターレス式|メンテナンス工数を大幅削減

特徴:
フィルターレス式は、従来のフィルターに代わり、回転ディスク式や遠心力を利用した捕集ユニットでオイルミストを分離・捕集します。内蔵されているフィルターが少ないため、メンテナンスが簡単でランニングコストを大幅に抑えることができます。

メリット デメリット
使用されているフィルターが少ないため、洗浄・交換等の手間が軽減される 微細なオイルミスト(サブミクロン粒子)は捕集が難しい
メンテナンスが簡単で、設備管理の負担が少ない 超微細粒子が環境に漏出する可能性がある

【赤松電機製作所】オニカゼ スマートミストマジック(SMG)

省エネ性に優れたミストコレクターSMGの製品外観

PRODUCT MOVIE

消費電力の削減やCO2排出量の低減を重視する現場に向けた、SMGシリーズの紹介動画です。

約30秒で特長をご覧いただけます。

遠心分離により、ミスト・切粉・スラッジを内部に溜めず、長期稼働が可能でドレン配管も不要です。消費電力を従来比で約50%削減し、省エネに貢献します。さらに、より高い捕集性能を求めるお客様向けに、アフターフィルター(0.3μm以上の粒子を99.93%捕集)も用意されています。

【赤松電機製作所】オニカゼ スマートゼロ(SMX)

微細なオイルミスト対策に対応するミストコレクターSMXの製品外観

PRODUCT MOVIE

微細なオイルミスト対策や、メンテナンス負担の軽減を重視する現場に向けた、SMXシリーズの紹介動画です。

約30秒で特長をご覧いただけます。

ロータリー式を採用した同製品は、フィルターレス方式の利点を最大限に活かし、メンテナンス周期の延長を実現しています。また、一般的なフィルターレスでは、捕集不可な1μm以上の微細粒子も捕集が可能です。

3-3. 電気集塵式|超微細粒子まで捕集可能な高性能方式

特徴:
電気集塵式は、入ってきたオイルミスト粒子を高電圧により発生させた「コロナ放電」で帯電させ、静電力を利用して油分を吸着・収集する仕組みです。高い捕集効率を持ち、1μm以下の微細なオイルミスト粒子も捕集可能です。

また、電極は洗浄リサイクルが可能で、繰り返し使用することができます。ちなみに、空調機と一体になっているミストコレクターや、大型のミストコレクターは主に電気集塵式が採用されています。

メリット デメリット
1μm以下の微細なオイルミスト粒子を高効率で捕集できる 高電圧を使用するため、取り扱いと設置場所に十分な注意が必要
フィルターが付いていないため、フィルター交換の手間がかからない(産業廃棄物が少ない) 電極のメンテナンスを怠ると、安全装置により頻繁に停止してしまう
電極は洗浄リサイクルが可能で、繰り返し使用できるためランニングコストが低い 電極洗浄に手間がかかり、メンテナンス費用が高額になる可能性

ミストコレクターの種類について理解できたら、次に設置方法も並行して理解しておくことが重要です。なぜなら、同じミストコレクターでも、設置方法によって効果が大きく異なるためです。

3つの種類(フィルター式・フィルターレス式・電気式)を比較した表

ここからは、設置方法の3つのパターンについて詳しく解説していきます。工作機械の仕様や加工環境に応じて、最適な方法を選択することが重要です。

4. ミストコレクターの3つの設置方法を実装時のポイント含めて解説

4-1. 直結吸気方式|密閉型加工室の標準設置方法

特徴:
直結吸気方式は、NC旋盤やマシニングセンタ、複合加工機などの加工部が密閉された工作機械で主に採用される方式で、ミストコレクターの最も一般的な使用方法です。

加工室内に発生したオイルミストを直接吸引し、捕集します。工作機械とミストコレクターはダクトホースで接続し、吸引します。使用している工作機械の加工室エリアや切削条件により、ミストコレクターのサイズを選定することが重要です。

メリット:

  • ミストを逃さず効率的に捕集できる
  • 工場全体の環境汚染を最小化
  • 費用対効果が高い

実装のポイント:

  • ダクトホースの径と長さを機械仕様に合わせて選定する
  • 吸引力低下を防ぐため、定期的なダクト清掃を実施する
  • 複数台の工作機械を1つのミストコレクターに接続する場合は、吸引力配分に注意

4-2. 局所吸気方式|開放型加工室の柔軟な設置方法

特徴:
局所吸気方式は、汎用旋盤や研削盤のような加工部が密閉されていない工作機械に採用される方式です。加工部が密閉されていないため、直結接続ができません。

その代わり、発生するオイルミストが流れる方向を念頭に置き、刃物付近に直接ホースを近付けたり、フード等でオイルミストを集めたりして吸引します。より柔軟な対応が可能な反面、一部のミストが逃げる可能性がある点に注意が必要です。

特徴的な利点:

  • 既存の工作機械への後付け導入が容易
  • 加工条件の変化に応じて吸引位置を調整可能
  • 設置に必要な改造が最小限で済む

実装のポイント:

  • ホース先端がミスト発生源に最大限近いことを確認する
  • 風の流れを考慮し、ホース配置を工夫する

4-3. 広域吸気方式|工場全体の総合的な環境改善

特徴:
広域吸気方式は、直結吸気方式や局所吸気方式のミストコレクターを設置しても、すべてのオイルミストを吸収・除去できない場合の設置方法です。

工場全体のオイルミストを吸収できるミストコレクター機能が付いた空調機を導入したり、小型のミストコレクターを工場内に分散設置したりして使用されます。換気をすれば、ある程度の工場内のオイルミストは外へと流れていきますが、外部への汚染問題も懸念されるため、「直結吸気方式+広域吸気方式」のように、複数の方式を組み合わせて活用するのが望ましいアプローチです。

ハイブリッド型の採用メリット:

  • 工場全体の環境品質が均一に保たれる
  • 複数の工作機械からのミスト発生に対応可能
  • 長期的な環境改善と従業員満足度の向上

実装のポイント:

  • 工場レイアウトと工作機械の配置を考慮した設計が必須
  • 空調・換気システムとの統合設計を検討する
  • 初期投資は大きいが、長期的なROI(投資回収率)は高い

3つの設置方法を工作機械と一緒に示す図解

”ミストコレクターの設置方法”3選!メリットもあわせて解説!

5. 自社に最適なミストコレクターを選ぶコツ

ここまで、ミストコレクターの種類と設置方法について学んできました。最後に、自社の工場環境に最適なミストコレクターを選ぶための実践的なポイントをお伝えします。

選択のステップ1:加工機械の仕様を把握する

まず最初に、自社で使用している工作機械の仕様を整理します。

確認すべき項目:

  • 機械の種類(NC旋盤、マシニングセンタ、複合加工機など)
  • 加工室の密閉状態(密閉型か開放型か)
  • 切削油の種類と給油方式
  • 1日の稼働時間と稼働頻度

選択のステップ2:発生するオイルミストの量と質を評価する

次に、発生するミストの量(多いか少ないか)と質(粗いか細かいか)を評価します。ステップ1で把握した機械仕様をベースに、実際の加工条件を確認することが大切です。

評価ポイント:

  • 高速切削・研削加工を行うか(ミスト発生量が多い)
  • 粉塵成分が多いか(フィルター目詰まりリスク)
  • 油煙が発生してるか(油煙対応のミストコレクター必須)

選択のステップ3:予算と運用負荷を考慮する

最後に、導入時の予算制約と、導入後の運用負荷を総合的に判断します。これらの要素を組み合わせることで、最適なモデルが決まります。

判断基準:

  • 低メンテ重視→ フィルターレス式(SMXなど)
  • 高い捕集性能重視→ 電気式(高価だがメンテナンス面で優位)
  • バランス型→ フィルター式(HVSなど、目詰まり対策済みモデル)
  • 環境負荷考慮→省エネモデル(SMGなど)

選択のステップ4:設置スペースと工事規模を確認する

最後に、以下のチェックポイントを確認します。

最後のチェックポイント:

  • 機械上部への設置スペースがあるか
  • ダクト配管工事の規模(費用と時間)
  • 既存の電源容量で対応可能か

6. 補足|ミストコレクターの応用分野

本記事では、金属加工工場での切削・研磨加工への活用を中心に解説してきました。ただし、参考までに、ミストコレクターは以下のような他の装置や産業でも応用されていることをお伝えします。

半導体・精密部品製造業での活用
ダイサーや精密洗浄機など、微細加工を伴う設備から発生する微粒子やミストの除去にも、ミストコレクターが活用されています。超クリーン環境の維持が必須となる業界では、電気集塵式やファイナルフィルター搭載モデルが重宝されています。

このように、ミストコレクターの基本原理は、業界や用途に応じて様々に応用可能な汎用装置として機能しています。

7. まとめ|ミストコレクターで実現する最適な工場環境

ここまでの内容をまとめます。

ミストコレクターは、工作機械を備えた工場において、従業員の健康、作業環境、機械設備を守るための必須の装置です。オイルミストがもたらす人体への疾患、環境悪化、設備故障といった悪影響を考えれば、導入の重要性は明らかです。

ミストコレクターの選択に際しては、以下の3つの視点から、自社に最適なモデルを検討することが重要です。

1. ミストコレクターの種類: フィルター式・フィルターレス式・電気式の中から、加工条件と予算に応じて選択する

2. 設置方法: 直結吸気・局所吸気・広域吸気の中から、工作機械の仕様と工場レイアウトに応じて選択する

3. メンテナンス体制: 導入後の継続的な運用と保守体制を事前に整備する

赤松電機製作所が展開する『オニカゼ ミストコレクター』は、様々な加工条件を考慮し、3種類の充実したラインナップをご用意しています。それぞれのモデルが異なるニーズに対応できるよう、設計・開発されています。

気になられた方は、以下のページからお気軽にお問合せください。お客様の工場環境を詳しくお伺いした上で、最適なミストコレクターのご提案をさせていただきます。

▲HVSに蚊取り線香吸わせてみた【赤松電機製作所】

監修者プロフィール

経営企画室/インサイドセールス

倉津 裕太

赤松電機製作所に入社後、営業部にて西日本エリアを担当し、切削・研削現場におけるミスト対策、溶接現場におけるヒューム対策の提案営業に従事。
現在は経営企画室/インサイドセールスとして、製造業の現場課題に対する情報提供を行うとともに、脱炭素経営PROJECTにも参画。
現場と経営の両視点から、ミスト・ヒューム対策や省エネを含めた工場環境改善に関する、導入検討に役立つ実務情報を発信している。

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