「溶接ヒューム対策」|ヒュームコレクター選定と導入ガイド
溶接ヒューム対策はできています?
溶接作業は、日本の産業を支える重要な作業工程の1つであり、多くの作業現場で行われています。
作業を行う際には、品質を維持するために注意すべき点はたくさんありますが、作業者の安全と健康を守るためにも様々なことに注意を払う必要があります。
特に問題となるのが、溶接時に発生する「溶接ヒューム」です。
本記事では、溶接ヒュームの健康被害、主な対策方法、ヒュームコレクターの導入効果と選定ポイントについて詳しく解説していきます。

1. そもそも溶接ヒュームとは?健康への悪影響
溶接ヒュームの定義
溶接作業には様々な方法があります。
主な溶接方法:
- アーク溶接
- ガス溶接
- レーザー溶接
- プラズマ溶接
などが代表的な溶接の方法になります。
ヒュームの発生と特性
溶接作業を行うことによって、煙やヒュームが発生してしまいます。
「溶接ヒューム」とは:
溶接作業を行う際に発生する金属粒子や酸化物などが固まってできた溶接痕周辺に付着した不純物や固体物のことを指します。
重要な特性:
溶接時に発生する煙や溶接ヒュームは有害で、吸い込むと人体へ悪い影響を与えてしまうという点が最も重要です。
単なる「煙」ではなく、有害物質を含む細かな粒子であり、呼吸器への侵入が容易です。

2. 溶接ヒュームによる具体的な健康被害
溶接ヒュームによる健康被害は、複数の臓器・器官に及びます。以下で詳しく解説していきます。
2-1. 呼吸器系障害|最も深刻な影響
有害物質の含有:
溶接作業時に発生する煙やヒュームには、以下のような有害物質が含まれています。
- 鉛
- ニッケル
- カドミウム
- マンガン
など多数の重金属
具体的な健康被害:
もし溶接時に発生する煙を吸い込むと、呼吸器系に以下のような影響が出ます:
- 慢性的な呼吸疾患
- 肺がんなどの重篤な疾患
- 気管支炎
- 喘息の悪化
重大性:
呼吸器系障害は、累積的に進行する傾向があり、長期の溶接作業者ほどリスクが高くなります。
2-2. 皮膚への影響|接触による疾患
接触性皮膚炎のリスク:
溶接作業時に使用される機器や材料には、皮膚に刺激を与える有害な物質が含まれています。
これらの物質に触れてしまうと、以下のような症状を引き起こす可能性があります:
- 湿疹
- 皮膚炎
- かぶれ
- 皮膚アレルギー反応
作業環境での暴露:
溶接作業では、頻繁に皮膚がヒュームに接触する環境であるため、予防が重要です。
2-3. 眼球への影響|視力低下リスク
2つのダメージ源:
溶接作業時の眼球へのダメージは、2つの原因があります:
1. ヒューム粒子による直接的な影響:
- 溶接作業時に発生する煙やヒュームが目に入ることで以下の疾患が発生
- 結膜炎
- 白内障
- その他の眼疾患
2. 溶接光による影響:
- 強い紫外線や赤外線により、眼球にダメージを及ぼす場合がある
- 網膜損傷
- 光誘発性眼炎
2-4. 足腰への影響|職業性疾患
長時間労働の身体的負荷:
溶接作業を行う際は、長時間にわたり同じ姿勢で作業をすることが多いため、足腰へのダメージを及ぼす可能性があります。
- 腰痛
- 脚部疲労
- 関節障害
- 筋肉損傷
溶接ヒューム対策の法的要件
重要な法令改正:
特に溶接時に発生する煙や溶接ヒュームは有害な物質を含んでいるため、呼吸器系障害など様々な人体への影響を引き起こす可能性があります。
そして特化則の改正とともに、新たに見直しがなされ、発生する溶接ヒュームが基準値を超える場合には、適切な処置を行うことが義務化されています。
つまり、溶接ヒューム対策は「任意」ではなく「義務」なのです。
関連記事: 「溶接ヒューム濃度測定」と対策装置を紹介
3. 主な溶接ヒュームの対策方法
溶接時に発生する煙やヒュームから作業者の安全と健康を守るための対策には、複数の方法があります。
溶接ヒューム対策の3つの主要方法:
3-1. ヒュームコレクターの導入
最も効果的な対策方法:
溶接時に発生する煙やヒュームを吸引・回収し、フィルターなどによって捕集する方法です。
特徴:
- ヒュームの根本的な除去が可能
- 作業エリア全体の環境改善が期待できる
- 最も確実な対策方法
3-2. 個人用防護具の着用
補助的な対策:
溶接作業を行う際に、煙や溶接ヒュームが直接体に触れるのを防ぐため、以下の防護具を身に着ける方法です。
主な防護具:
- マスク(防塵マスク、呼吸用保護具)
- ゴーグル
- エプロン
- 溶接用作業着
限界:
- 作業者個人の保護には有効
- 作業環境全体の改善には不十分
- 装着の手間や不快感がある
3-3. 換気設備の導入
補助的な環境改善:
溶接を行う作業現場に、換気設備を導入することで空気を循環させ、溶接作業時に発生する煙や溶接ヒュームをその場から除去する方法です。
メリット:
- 初期投資が比較的低い
- 継続的なメンテナンスが少ない
デメリット:
- ヒュームが蔓延する可能性がある
- 周囲への影響が残存する可能性
- 根本的な除去ではなく「追い出す」だけ
総合的なアプローチの推奨
色々な対策方法がありますが、最も効果的な対策はこれら複数の方法を組み合わせることです。
推奨される組み合わせ:
- ヒュームコレクター(最優先) + 個人用防護具 + 換気設備

4. 「ヒュームコレクター」とは
基本機能
ヒュームコレクターとは、溶接作業時に発生し、空気中に浮遊している煙やヒュームを吸引・除去できる装置です。
各種呼称
ヒュームコレクターは、以下のような複数の名称で呼ばれています:
- ヒュームコレクター
- 溶接ヒュームコレクター
- 溶接ヒューム集塵機
- 溶接用ヒューム除去装置
用途はほぼ同じで、煙や溶接ヒュームを吸引・除去することが目的の装置です。
重要な役割
溶接作業時に発生する煙やヒュームは、有害な成分が含まれているため、人体に悪い影響を及ぼす可能性があります。
作業時には、作業者の安全と健康を守るためにも様々なことに注意する必要です。ヒュームコレクターはその中で最も効果的な対策ツールです。
5. 「ヒュームコレクター」導入による効果
個人用防護具との比較
マスク、ゴーグルやエプロンなどは、作業者個人を煙やヒュームから守ることに特化しており、作業環境の改善という観点での効果はそれほど期待できません。
限界:
- 個人保護のみ
- 周囲の作業者への保護効果が限定的
- 作業環境全体には効果なし
換気設備との比較
換気設備については、溶接作業によって発生した煙やヒュームなどを作業者から遠ざける効果は期待できますが、煙やヒュームが蔓延し、周囲に影響を及ぼす可能性もあります。
課題:
- ヒュームを「除去」ではなく「拡散」させる
- 他の作業エリアへの影響が残存
- 根本的な対策ではない
ヒュームコレクターの優位性
ヒュームコレクターは、溶接ヒュームを吸引して回収するための装置ですので、換気設備のようにヒュームを蔓延させるリスクも軽減できます。
期待できる効果:
- 作業者自身の安全と健康を確保
- 周囲で働く人々の安全と健康を守る
- 作業環境をきれいに保つ
- 長期的な健康リスクを低減
つまり、ヒュームコレクターは「個人レベル」から「組織・工場レベル」での環境改善を実現する唯一の方法なのです。
関連記事: 溶接作業の健康診断と溶接ヒューム対策をご紹介
6. まとめ|ヒュームコレクター導入で実現する安全・健康な作業環境
今回は、溶接ヒュームの対策方法とヒュームコレクターの導入効果について詳しく解説しました。
溶接ヒュームの健康被害
改めて整理すると、溶接ヒュームによる健康被害は以下の通りです:
4つの主要な被害:
- 呼吸器系障害 – 最も深刻、肺がんなどの重篤な疾患のリスク
- 皮膚への影響 – 接触性皮膚炎、湿疹などの皮膚疾患
- 眼球への影響 – 白内障、結膜炎などの視力低下リスク
- 足腰への影響 – 長時間労働による職業性疾患
対策方法の比較
3つの主要な対策方法:
- 個人用防護具 – 個人保護のみ、環境改善効果が限定的
- 換気設備 – ヒュームの拡散、根本的な除去ではない
- ヒュームコレクター(推奨) – 最も効果的、個人・環境両面での保護
ヒュームコレクター導入のメリット
防護マスク/換気装置だけでなく、ヒュームコレクターも組み合わせることで:
- 作業者自身の安全と健康を確保
- 周囲で働く人々の安全と健康を守る
- 作業環境をきれいに保つ効果が期待できます
ヒュームコレクター選定の重要ポイント
ヒュームコレクターを導入する際は、安全で使いやすい物を選ぶことが重要です。
選定時の重要チェックポイント:
- 移動・運搬が容易か
- メンテナンスが簡単か
- 設置スペースは現実的か
- 長期的に使い続けられるデザインか
赤松電機製作所のヒュームコレクター製品
赤松電機製作所では、溶接ヒューム対策に特化した2つの主力製品をご用意しています。
小型・導入しやすいモデルから、安全性重視のロボット溶接対応モデルまで、様々な工場環境のニーズに対応できるラインナップが揃っています。
PRODUCT LINEUP
オニカゼ ヒュームコレクターラインナップ
溶接ヒューム対策に対応する主力2製品を、用途別に比較しやすく整理しました。
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