溶接現場の換気方法とは?3つの方法と溶接ヒューム対策を解説!
溶接現場の換気は、作業場に溶接ヒュームが滞留するのを抑えるための基本的な対策です。
金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場では、溶接ヒュームを減少させるため、全体換気装置による換気またはこれと同等以上の措置が求められます。
ただし、換気方法にはそれぞれ役割があります。発生源付近から吸引する局所排気、気流でヒュームを導くプッシュプル型換気、作業場全体の空気を入れ替える全体換気では、向いている現場や注意点が異なります。
本記事では、局所排気・プッシュプル型換気・全体換気の違いを中心に、ヒュームコレクターとの役割分担まで整理します。

KEY POINTS
換気方法は「どこでヒュームを減らすか」が違う
局所排気
発生源の近くから吸引する。
プッシュプル型換気
気流でヒュームを一定方向へ導く。
全体換気
作業場全体の空気を入れ替えて希釈する。
- 01. まず確認|溶接現場で換気が必要になる理由
- 02. 溶接現場で使われる3つの換気方法
- 03. 方法1|局所排気で発生源の近くから吸引する
- 04. 方法2|プッシュプル型換気で気流をつくる
- 05. 方法3|全体換気で作業場全体の濃度を下げる
- 06. 3つの換気方法を比較
- 07. 換気とヒュームコレクターはどう使い分ける?
- 08. ONIKAZEのヒュームコレクター
- 09. よくある質問|溶接現場の換気方法
- 10. まとめ|換気方法の違いを理解し、発生源対策と組み合わせる
まず確認|溶接現場で換気が必要になる理由
金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場では、溶接ヒュームを減少させるための換気等が必要です。
特定化学物質障害予防規則では、全体換気装置による換気の実施、またはこれと同等以上の措置を講じることが定められています。
また、金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場で、新たな作業方法を採用・変更する場合には、溶接ヒューム濃度を測定し、その結果に応じて換気装置の風量増加など必要な措置を講じます。
濃度測定や呼吸用保護具の選定は別の記事で詳しく扱っているため、ここでは換気方法そのものに絞って解説します。
OFFICIAL INFORMATION
厚生労働省|溶接ヒュームに係る規制の追加を確認する →溶接現場で使われる3つの換気方法
代表的な方法として、局所排気・プッシュプル型換気・全体換気があります。
どの方法が適しているかは、溶接位置が固定されているか、作業者が移動するか、設備スペース、周囲の気流などによって変わります。

METHOD 01
局所排気
発生源に吸込フードを近づけて捕集する。
METHOD 02
プッシュプル型換気
吹出しと吸込みの気流でヒュームを導く。
METHOD 03
全体換気
作業場全体の空気を入れ替えて希釈する。
方法1|局所排気で発生源の近くから吸引する
局所排気は、ヒュームの発生源に吸込フードを設け、広がる前に吸引する方法です。
発生源の近くで捕集するため、作業場全体へ拡散する前にヒュームを処理しやすい点が特徴です。
フードの位置が効果を左右する
特に重要なのが、発生源と吸込フードの距離です。離れすぎるとヒュームを十分に吸い込みにくくなるため、溶接位置や作業姿勢に合わせて配置します。
そのため、導入時はフード形状、ダクト、必要風量、作業スペースなどをまとめて確認する必要があります。
向いている場面
発生位置が比較的決まっており、フードを近づけやすい現場。
確認したい点
設備スペース、ダクト経路、作業性、フード位置。
方法2|プッシュプル型換気で気流をつくる
プッシュプル型換気は、吹出し側と吸込み側の気流を利用し、ヒュームを一定方向へ導いて排気する方法です。
一方から空気を送り、反対側で吸い込むことで、作業空間を通る気流をつくります。
作業範囲をカバーしやすい反面、設備条件を確認する
局所排気のフードを発生源へ近づけにくい作業でも、気流を利用してヒュームを移動させやすい場合があります。
ただし、吹出し・吸込み設備が必要になるため、設置スペースや設備規模、周囲の気流への影響も確認します。
向いている場面
ある程度の作業範囲を気流でカバーしたい現場。
確認したい点
吹出し・吸込みの配置、設備スペース、作業への影響。
方法3|全体換気で作業場全体の濃度を下げる
全体換気は、作業場へ外気を取り込み、ヒュームを含む空気を入れ替えることで濃度を下げる方法です。
局所排気やプッシュプル型換気のように、発生源そのものを直接捕集する方法ではありません。
そのため、作業場全体の空気を入れ替える対策として使います。
導入しやすい一方、ヒュームの流れを確認する
全体換気では、給気位置と排気位置、建屋内の気流によってヒュームの流れ方が変わります。
例えば、排気までの経路上に別の作業者がいると、ヒュームがその作業エリアを通過する可能性があります。周囲や建屋外への影響も含めて検討します。
向いている場面
作業場全体のヒューム滞留を抑えたい現場。
確認したい点
給排気位置、建屋内の気流、周囲・屋外への影響。
3つの換気方法を比較
3つの方法は、ヒュームを減らす場所と設備の考え方が異なります。
どれか一つを機械的に選ぶのではなく、溶接位置、作業範囲、作業者の動線、設備スペース、周囲の気流を見ながら判断します。
換気とヒュームコレクターはどう使い分ける?
同じ「ヒューム対策」でも、換気設備とヒュームコレクターでは役割が異なります。
換気は作業場内の空気を動かして濃度を下げる対策です。一方、ヒュームコレクターは発生源付近からヒュームを吸引・捕集する対策です。
そのため、換気だけでは発生源付近のヒュームを十分に抑えにくい場合に、ヒュームコレクターを組み合わせる考え方があります。

発生源へ近づけて使えるかが重要
ヒュームコレクターも、吸引口が発生源から離れすぎると十分に捕集しにくくなります。溶接姿勢やワーク形状が変わる現場では、吸引位置を調整しやすいかも確認します。
なお、火花やスパッタを吸い込む可能性があるため、装置選定では現場の火花量や防火対策も重要です。
ONIKAZEのヒュームコレクター
赤松電機製作所では、溶接ヒューム対策向けにFSMシリーズとFM-220を展開しています。
よくある質問|溶接現場の換気方法
換気方法を検討するときによく確認されるポイントをまとめます。
換気方法に関する質問
Q.溶接現場ではどの換気方法を使えばよいですか?
Q.局所排気と全体換気は何が違いますか?
Q.プッシュプル型換気はどんな方法ですか?
ヒュームコレクターとの併用に関する質問
Q.換気だけで溶接ヒューム対策は十分ですか?
Q.ヒュームコレクターはどこに置けばよいですか?
まとめ|換気方法の違いを理解し、発生源対策と組み合わせる
溶接現場では、局所排気・プッシュプル型換気・全体換気で役割が異なります。
局所排気は発生源付近から吸引し、プッシュプル型換気は気流でヒュームを導き、全体換気は作業場全体の空気を入れ替えて濃度を下げます。
ただし、換気だけで十分とは限りません。発生源のヒュームを減らしたい場合は、ヒュームコレクターなどの捕集対策も合わせて検討します。
最終的には、溶接方法、作業位置、ヒュームの発生状況、周囲の気流、火花の状況などを整理し、現場に合う対策を選ぶことが重要です。

