ミストコレクターの設置方法とは?3つの方式と選び方を解説!

ミストコレクター
アイコン 投稿日: 2022/3/3 アイコン 更新日: 2026/9/17

ミストコレクターの設置方法には、主に直結吸気方式・局所吸気方式・広域吸気方式の3つがあります。

ミストコレクターは、工作機械から発生するオイルミストや油煙を吸引・除去する装置です。しかし、機種を選ぶだけでは十分な効果が出ない場合があります。

なぜなら、工作機械の構造や工場レイアウトに合わない設置方法を選ぶと、オイルミストを十分に捕集できない可能性があるためです。

そのため、導入時は機種選定と同じくらい、吸引位置・ダクト・設置方法の検討が重要です。

そこで、本記事では、3つの設置方法の違い、向いている設備、設置時の注意点、判断の目安までを設置方法に絞って解説します。

直結吸気・局所吸気・広域吸気の3つのミストコレクター設置方法を解説するイメージ

INSTALLATION GUIDE

この記事で確認するポイント

01 / DIRECT

直結吸気

密閉型工作機械から、ダクトで直接吸引する方法。

02 / LOCAL

局所吸気

開放型設備の発生源付近から吸引する方法。

03 / AREA

広域吸気

工場内に残ったミストを補助的に回収する方法。

ミストコレクターの設置方法は主に3種類

ミストコレクターの設置方法は、工作機械の構造とミストの広がり方によって、主に3つに分けられます。

  1. 直結吸気方式:密閉された加工室から直接吸引する
  2. 局所吸気方式:発生源付近にホースやフードを近づけて吸引する
  3. 広域吸気方式:工場全体に残ったミストを補助的に回収する

3つの違いを簡単に整理します。

METHOD 01直結吸気方式
吸引方法加工室と本体をダクトで接続
向いている設備NC旋盤・マシニングセンター・複合加工機
重要ポイントダクト径・長さ・曲がり・吸引力
METHOD 02局所吸気方式
吸引方法発生源近くにホースやフードを配置
向いている設備研削盤・グラインダー・汎用旋盤など
重要ポイント発生源との距離・フード形状・周囲の風
METHOD 03広域吸気方式
吸引方法工場内に残ったミストを補助的に回収
向いている現場複数設備が稼働し、ミストが広がる工場
重要ポイント単独ではなく発生源対策との併用

つまり、基本は、発生源でできるだけ捕集し、取り切れないミストを必要に応じて広域対策で補う考え方です。

BASIC GUIDE

ミストコレクターそのものの基礎から確認したい方へ

ミストコレクターとは?種類・選び方の基礎を見る

直結吸気方式|密閉型の工作機械に適した設置方法

直結吸気方式とは、工作機械とミストコレクターをダクトで接続し、加工室内のオイルミストを直接吸引する設置方法です。

例えば、マシニングセンター、NC旋盤、複合加工機など、加工部が密閉されている工作機械に向いています。

仕組みと吸引の流れ

加工室で発生したオイルミストを、接続口からダクトホースを通してミストコレクターへ送ります。そのため、発生源を囲い込める場合は、工場内へ広がる前に捕集しやすい点が特徴です。

適している設備

  • NC旋盤
  • マシニングセンター
  • 複合加工機
  • フルカバー付き工作機械
  • 加工室が密閉されている設備
  • ミスト発生源を囲い込める設備

主なメリット

  • 発生源から直接吸引しやすい
  • オイルミストの漏出を抑えやすい
  • 工場全体への拡散を防ぎやすい
  • 密閉型工作機械と相性が良い

設置時に注意するポイント

  • 工作機械に接続口があるか
  • ダクトホースの径が適切か
  • ダクトが長すぎないか
  • 曲がりが多くなっていないか
  • 複数台接続時に吸引力が不足しないか
  • ダクト清掃がしやすいか

ただし、ダクトが長すぎたり、曲がりが多かったりすると圧力損失が増え、必要な吸引力を確保しにくくなる場合があります。

そのため、直結吸気方式では本体の風量だけでなく、ダクト経路まで含めて確認することが重要です。

局所吸気方式|開放型の工作機械に適した設置方法

次に、局所吸気方式とは、オイルミストが発生する場所にホースやフードを近づけて吸引する設置方法です。

例えば、工作機械に直接接続できない場合や、加工部が開放されている設備で使われます。

仕組みとフード配置

オイルミストの発生源付近にホースやフードを配置し、ミストが広がる前に吸引します。一方で、密閉空間から直接吸う方法ではないため、吸引位置とフード形状が結果に大きく影響します。

対応しやすい設備

  • 研削盤
  • グラインダー
  • 汎用旋盤
  • 開放型の加工設備
  • フルカバーではない工作機械
  • 工作機械に接続口がない設備

導入上のメリット

  • 既存設備に後付けしやすい
  • 工作機械の改造を抑えやすい
  • 吸引位置を調整しやすい
  • 開放型設備にも対応しやすい

吸引位置で注意するポイント

  • ホース先端とミスト発生源の距離
  • フードの形状
  • 必要な面風速を確保できるか
  • 加工中のミストの流れ
  • 周囲の風の影響
  • 作業者の動線
  • 設置後に位置調整できるか

特に、ホースやフードが発生源から離れすぎると、周囲の空気まで多く吸い込むため、ミストを捕集しにくくなります。

そのため、局所吸気方式ではできるだけ発生源に近い位置で吸引することが重要です。

広域吸気方式|工場全体に残るミストを補助的に回収する方法

最後に、広域吸気方式とは、工場全体に広がったオイルミストを補助的に吸引・除去する設置方法です。

一方で、直結吸気方式や局所吸気方式だけでは取り切れず、工場内にミストが残る場合は広域吸気方式を検討します。

仕組みと配置の考え方

工場内の空気の流れを考慮しながら、ミストコレクターや排気設備を配置します。例えば、小型のミストコレクターを複数配置して、空間に残ったミストを補助的に回収する方法があります。

ただし、広域吸気方式は発生源を直接吸引する方法ではありません。

適している現場

  • 複数の工作機械が稼働している工場
  • 工場全体にミストが広がっている現場
  • 直結吸気だけでは対応しきれない現場
  • 局所吸気だけでは環境改善が不十分な現場
  • 工場全体の空気環境も改善したい現場

広域対策のメリット

  • 工場全体に残ったミストを補助的に回収しやすい
  • 複数の工作機械がある現場に対応しやすい
  • 発生源対策と組み合わせて環境改善を進めやすい

配置計画で注意するポイント

  • 発生源対策を先に行っているか
  • 工場内の空気の流れを把握しているか
  • 既存の空調・換気設備との位置関係
  • 設置台数と配置場所
  • メンテナンススペースを確保できるか

広域吸気方式だけに頼るのではなく、直結吸気方式や局所吸気方式を補完する方法として考えるのが基本です。

ハイブリッド型の設置も有効

さらに、工場全体の環境改善を考える場合は、設備ごとに設置方式を使い分ける方法もあります。

  • 密閉型設備:直結吸気方式
  • 開放型設備:局所吸気方式
  • 工場内に残るミスト:広域吸気方式で補助

そのため、複数の方式を組み合わせることで、発生源対策と工場全体の環境改善を両立しやすくなります。

設置方法を決める前に確認したい5つのポイント

設置方式を決めるときは、工作機械の種類だけでなく、実際の吸引経路とメンテナンス条件まで確認します。

1.工作機械の密閉性を確認する

まず、加工室が密閉されている場合は直結吸気方式、開放されている場合は局所吸気方式が基本的な候補になります。

2.ミストの発生位置と流れを確認する

次に、開放型設備では、発生源とフードの距離や周囲の風によって捕集しやすさが変わります。実際にどの方向へミストが流れているかを確認します。

3.ダクトの径・長さ・曲がりを確認する

直結吸気方式では、ダクト経路が長いほど、また曲がりが多いほど圧力損失が増える場合があります。本体だけでなく、接続経路まで含めて検討します。

4.必要処理風量を満たせるか確認する

ただし、設置方法が合っていても、必要な処理風量を満たしていなければ十分に吸引できない可能性があります。必要処理風量の計算は、選定記事で詳しく解説しています。

5.点検・清掃スペースを確保できるか確認する

最後に、本体やダクトを設置できても、フィルター交換や清掃時に手が入らなければ保守負担が増えます。設置時には、日常点検やメンテナンス作業のスペースも確保します。

ミストコレクターの設置方法を判断する目安

そこで、設置方法で迷った場合は、工作機械の密閉性と、ミストがどこまで広がっているかから整理すると判断しやすくなります。

密閉型工作機械
直結吸気方式
加工室から直接吸引しやすい
開放型工作機械
局所吸気方式
発生源の近くから吸引する
工場全体に残るミスト
広域吸気方式を併用
発生源対策で取り切れないミストを補助的に回収する
直結吸気・局所吸気・広域吸気の3つの設置方法を工作機械と一緒に示した図解

POINT

換気扇だけでは、発生源対策にならない場合があります

一方で、換気扇は空気を排出する設備ですが、油分を含むミストが設備側に蓄積すると、清掃負担や排気効率に影響する場合があります。発生源での吸引・除去を基本に、必要に応じて換気設備と組み合わせます。

蒸気・換気に関する注意点も確認する →

正しく設置することで期待できる効果

設置方法を現場条件に合わせることで、ミストの拡散を抑え、作業環境や設備管理の改善につながります。

01 / SAFETY

作業環境の改善

空気中や床面への油分の拡散を抑え、作業者の健康・安全面のリスク低減につなげます。

02 / EQUIPMENT

設備への油分付着を抑える

換気扇・空調機器・周辺設備への油分付着を抑え、清掃や保全負担の軽減につなげます。

03 / OPERATION

維持管理をしやすくする

点検・清掃しやすい配置にすることで、導入後のメンテナンスを行いやすくします。

設置方法を決めた後は、加工条件に合う機種を選ぶ

設置方法が決まったら、次に必要処理風量や油の種類、油煙の有無、メンテナンス条件から機種候補を絞ります。

赤松電機製作所では、主にHVS・SMG・SMXの3シリーズを用途に合わせて展開しています。

HVS

油煙・オイルミスト対策

油性切削油や油煙を伴う現場で、捕集性能を重視する場合の候補。

HVSの製品詳細を見る →

SMG

省エネを重視

遠心分離方式を採用し、消費電力や運用負担を抑えたい場合の候補。

SMGの製品詳細を見る →

SMX

微細ミスト・省力化を重視

ロータリー式を採用し、微細ミスト対策とメンテナンス負担軽減を両立したい場合の候補。

SMXの製品詳細を見る →

ミストコレクターの設置方法に関するよくある質問

ここでは、設置方式の選び方や、設計・運用時によく出る疑問をまとめます。

設置方式に関する質問

ミストコレクターの設置方法には何がありますか?

主に直結吸気方式・局所吸気方式・広域吸気方式の3つです。工作機械の密閉性や工場内へのミストの広がり方に合わせて選びます。

直結吸気方式はどんな設備に向いていますか?

NC旋盤、マシニングセンター、複合加工機など、加工室が密閉されている工作機械に向いています。

局所吸気方式はどんな設備に向いていますか?

研削盤、グラインダー、汎用旋盤など、加工部が開放されている設備に向いています。発生源に近い位置で吸引することが重要です。

広域吸気方式だけで十分ですか?

ただし、広域吸気方式だけでは発生源対策として不十分な場合があります。直結吸気方式や局所吸気方式を基本にし、取り切れないミストを補助的に回収する使い方が考えられます。

設計・運用に関する質問

設置方法を間違えるとどうなりますか?

オイルミストを十分に吸引できず、工場内へ拡散する可能性があります。吸引位置、ダクト経路、必要処理風量をあわせて確認することが重要です。

ダクトは短い方がよいですか?

一般に、ダクトが長く、曲がりが多いほど圧力損失が増える場合があります。現場レイアウトに合わせつつ、必要な吸引力を確保できる経路にします。

ミストコレクターは換気扇の代わりになりますか?

単純な代替ではありません。換気扇は空気を排出する設備、ミストコレクターはオイルミストや油煙を吸引・除去する装置です。工場環境によっては両方を組み合わせます。

まとめ|工作機械に合った設置方法を選ぶ

ミストコレクターの設置方法は、工作機械の密閉性とミストの広がり方に合わせて選びます。

  1. 直結吸気方式:密閉型の工作機械から直接吸引する
  2. 局所吸気方式:開放型設備の発生源付近から吸引する
  3. 広域吸気方式:発生源対策で取り切れないミストを補助的に回収する

また、設置方法だけでなく、必要処理風量、ダクトの径・長さ・曲がり、吸引位置、点検スペースまで含めて確認することが重要です。

また、機種の種類や風量まで含めて候補を絞りたい場合は、機種選定ページや無料デモ機貸出も活用できます。

NEXT ACTION

設置条件と機種候補を次のステップで確認

監修者プロフィール

経営企画室/インサイドセールス

倉津 裕太

赤松電機製作所に入社後、営業部にて西日本エリアを担当し、切削・研削現場におけるミスト対策、溶接現場におけるヒューム対策の提案営業に従事。
現在は経営企画室 /インサイドセールスとして、製造業の現場課題に対する情報提供を行うとともに、脱炭素経営PROJECTにも参画。
現場と経営の両視点から、ミスト・ヒューム対策や省エネを含めた工場環境改善に関する、導入検討に役立つ実務情報を発信している。

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