ミストコレクターで蒸気は吸引できる?課題・故障リスク・対策を解説!
ミストコレクターは、工作機械から発生するオイルミストや油煙を吸引・除去する装置です。
一方で、水蒸気などの蒸気は、ミストコレクターの本来の捕集対象とは異なります。
そのため、通常の使い方では蒸気を完全に捕集することは難しい場合があります。
しかし、二次空気を取り込んで蒸気を冷却・結露させるなどの対策を行えば、捕捉効率を改善できる可能性があります。
ただし、蒸気をそのまま吸引すると、モーター内部の錆び、焼損、高温による部品劣化などの故障につながる可能性があります。
そのため、ミストコレクターで蒸気を吸引する場合は、吸入可能温度・結露対策・洗浄液の性質・危険物の有無を事前に確認することが重要です。
本記事では、ミストコレクターで蒸気を吸引できるのか、蒸気吸引時に起こりやすい故障リスク、対策方法、選定時の確認ポイントをわかりやすく解説します。

- 01. ミストコレクターとは?オイルミストを除去する装置
- 02. ミストコレクターで蒸気は吸引できるのか?
- 03. 蒸気の捕捉効率を改善する方法
- 04. 蒸気を吸引することで起こりうる問題
- 05. 問題1|蒸気によるモーターの錆び・焼損
- 06. 問題2|高温蒸気による故障リスク
- 07. 蒸気吸引時に確認すべき選定基準
- 08. モーターへの蒸気侵入を防ぐONIKAZEの工夫
- 09. 蒸気吸引時の対策を比較
- 10. ミストコレクターで蒸気を吸引する際のよくある質問
- 11. まとめ|蒸気吸引は温度・結露・安全性を確認して判断する
- 12. お問い合わせ
ミストコレクターとは?オイルミストを除去する装置
まず、ミストコレクターの本来の役割を確認しましょう。
ミストコレクターとは、金属加工時に発生するオイルミストや油煙を吸引・除去し、工場内の空気環境を改善するための装置です。
ミストコレクターの主な役割
工作機械で切削油を使用する際に発生するオイルミストを吸引します。
オイルミストとは、切削油や潤滑油が微細な霧状になり、空気中に浮遊したものです。
ミストコレクターを導入することで、以下のような効果が期待できます。
- 作業者の健康被害を防ぎやすくなる
- 工場内の空気環境を改善できる
- 床面の油汚れを抑えられる
- 工作機械や制御機器の劣化を防ぎやすくなる
- 周辺機器の故障リスクを低減できる
- 清掃負担を軽減できる
つまり、ミストコレクターはオイルミストや油煙の除去を目的に設計された装置です。
蒸気は本来の捕集対象とは異なる
一方で、蒸気はオイルミストとは性質が異なります。
オイルミストは油分を含む微粒子ですが、水蒸気などの蒸気は、より細かく、気体に近い状態で存在します。
そのため、通常のミストコレクターでは、蒸気を完全に捕集できない場合があります。
この点を理解せずに使用すると、思ったような捕集効果が得られないだけでなく、装置の故障につながる可能性があります。
ミストコレクターで蒸気は吸引できるのか?
結論として、ミストコレクターで蒸気を完全に捕集することは難しい場合があります。
なぜなら、ミストコレクターは本来、オイルミストや油煙を捕集する装置であり、水蒸気そのものを処理するための装置ではないためです。
ただし、条件や対策によっては、蒸気の捕捉効率を改善できる可能性があります。
蒸気を完全に捕集しにくい理由
蒸気を完全に捕集しにくい理由は、粒子の細かさと状態にあります。
水蒸気などの蒸気は、オイルミストや油煙よりもさらに細かく、通常のフィルターや捕集ユニットを通過してしまう場合があります。
また、高温の蒸気は、装置内部や配管内で冷却されることで結露します。
その結果、ミストコレクター内部に水分が入り込み、モーターや内部部品に悪影響を与える可能性があります。
温水洗浄機で起こりやすい現象
例えば、温水洗浄機にミストコレクターを使用する場合、以下のような流れが起こることがあります。
このように、蒸気は通常のオイルミストとは違い、捕集よりも冷却・結露・排水対策が重要になります。
蒸気対応は「完全捕集」ではなく「改善」と考える
ミストコレクターで蒸気を扱う場合は、完全な捕集を前提にしない方が安全です。
現実的には、二次空気の導入や配管設計によって、蒸気を冷却・結露させ、捕捉効率を改善する考え方になります。
つまり、蒸気対応は完全捕集ではなく、捕捉効率を高めるための対策として考える必要があります。
蒸気の捕捉効率を改善する方法
ミストコレクターで蒸気を吸引する場合は、蒸気をそのまま吸わせるのではなく、事前に冷却・結露させる工夫が重要です。
そのための代表的な対策が、二次空気の取り込みです。
二次空気を取り込んで蒸気を冷却する
二次空気とは、ミストコレクターへ向かう配管の途中で取り込む外気のことです。
外気を混ぜることで、高温の蒸気を冷却し、強制的に結露させます。
これにより、蒸気のまま通過しにくくなり、捕捉効率の改善が期待できます。
T型分岐管と手動ダンパーを使う方法
具体的には、洗浄機とミストコレクターの配管部にT型分岐管を設置します。
さらに、外気の吸入量を調整できるように、手動ダンパーを取り付けます。
この構造により、外気を取り込みながら蒸気を冷却し、ミストコレクターに入る前の状態を調整しやすくなります。
ただし、外気の取り込み量や配管長さによって効果は変わります。
そのため、現場ごとに条件を確認しながら設計する必要があります。

蒸気捕捉効率を高める5つのポイント
蒸気の捕捉効率を高めるには、以下のポイントを確認しましょう。
このように、蒸気対策では吸引力だけでなく、冷却・結露・排水の設計が重要です。
蒸気を吸引することで起こりうる問題
ミストコレクターで蒸気を吸引すると、装置内部に水分や高温空気が入り込みます。
その結果、さまざまな故障リスクが発生する可能性があります。
主な問題は以下の2つです。
- 蒸気が原因でモーターが錆びる
- 高温蒸気によって内部部品が劣化する
ここから、それぞれ詳しく解説します。
問題1|蒸気によるモーターの錆び・焼損
蒸気を日常的に吸引すると、モーター内部に水分が入り込む可能性があります。
そして、モーター内部で結露が発生すると、鉄部分が錆びる原因になります。
このように、蒸気は単に通過するだけではありません。
結露して水分になることで、モーター内部の錆びや焼損につながる可能性があります。
原因不明の故障は蒸気が関係している場合がある
ミストコレクターの故障原因がわかりにくい場合、蒸気吸引が影響している可能性があります。
例えば、以下のような症状がある場合は注意が必要です。
- モーターの回転が重い
- 異音がする
- 吸引力が落ちた
- 頻繁に停止する
- モーターが焼損した
- 内部に水分や錆びが見られる
このような場合は、オイルミストだけでなく、蒸気や結露水の影響も確認しましょう。
問題2|高温蒸気による故障リスク
蒸気のもう一つの問題は、温度です。
ミストコレクターには、機種ごとに吸入可能温度があります。
この温度を超える蒸気を吸い続けると、内部部品の劣化や故障につながる可能性があります。
| 温度基準 | 詳細 |
|---|---|
| 最高吸入可能温度 | 最高でも75℃程度が目安 |
| 商品による差 | ミストコレクターの種類・メーカーで異なる |
| 超過した場合 | 内部部品の劣化、ゴムシール硬化など故障リスク増加 |
一般的には、ミストコレクターの吸入可能温度には上限があります。
そのため、高温蒸気を吸引する場合は、必ず使用する機種の仕様を確認する必要があります。
高温蒸気は冷却してから吸引する
高温蒸気を吸引する場合は、ミストコレクターに入る前に温度を下げる必要があります。
主な対策は以下の通りです。
- 配管を長くして自然冷却する
- 二次空気を取り入れて外気と混ぜる
- 冷却ファンを追加する
- 放熱性の高い配管を使う
- 結露ドレンを排出できる構造にする
ただし、単に冷却すればよいわけではありません。
冷却によって結露水が発生するため、水分の排出経路や逆流防止も同時に考える必要があります。
蒸気吸引時に確認すべき選定基準
ミストコレクターを蒸気が発生する用途で使う場合は、通常のオイルミスト対策よりも確認項目が増えます。
特に重要なのは、以下の5つです。
- 洗浄温度
- 洗浄液のpH
- 加工室・洗浄室の容積
- ワークに付着している液体
- 有機溶剤・石油系液体など危険物の有無
1. 洗浄温度を確認する
まず確認すべきなのは、洗浄温度です。
洗浄温度が高いほど、発生する蒸気の温度も高くなります。
そのため、使用するミストコレクターの吸入可能温度を超えないか確認する必要があります。
対応方法は以下の通りです。
- 吸入可能温度が高いモデルを選ぶ
- 二次空気を取り込んで温度を下げる
- 配管を長くして自然冷却する
- 放熱性の高い配管を使う
- 冷却対策後の温度を測定する
特に、高温洗浄機に使用する場合は、吸入前の温度確認が必須です。
2. 洗浄液のpHを確認する
次に、洗浄液のpHを確認します。
洗浄液が酸性かアルカリ性かによって、発生する蒸気や結露水の性質が変わります。
例えば、酸性やアルカリ性の成分を含む場合、ミストコレクター内部の金属部品やシール部品に影響を与える可能性があります。
そのため、洗浄液の性質に応じて、耐酸性・耐アルカリ性のある材質や仕様を検討する必要があります。
3. 加工室・洗浄室の容積を確認する
加工室や洗浄室の容積も重要です。
容積が大きいほど、発生する蒸気の量も多くなりやすいため、必要な処理風量を確認する必要があります。
確認すべき項目は以下の通りです。
- 幅
- 奥行き
- 高さ
- 扉の開閉頻度
- 蒸気の発生量
- 運転時間
- 洗浄温度
このように、容積だけでなく、実際の稼働条件も合わせて確認しましょう。
4. ワークに付着している液体を確認する
洗浄ワークに付着している液体の種類も重要です。
ワークに油分、洗浄液、薬液、切削油などが付着している場合、それらが蒸気やミストとして吸引される可能性があります。
そのため、以下を確認しましょう。
- ワークに何が付着しているか
- 油分を含むか
- 洗浄液を含むか
- 腐食性のある成分を含むか
- 有機溶剤を含むか
- 石油系液体を含むか
特に、腐食性や可燃性のある液体を扱う場合は、通常仕様では対応できない可能性があります。
5. 有機溶剤・石油系液体の有無を確認する
有機溶剤や石油系液体を使用している場合は、特に注意が必要です。
なぜなら、可燃性の蒸気やミストを吸引すると、引火や爆発の危険があるためです。
このような場合は、通常のミストコレクターを使用するのではなく、防爆対応や安全対策を含めて検討する必要があります。
そのため、有機溶剤や石油系液体が関係する場合は、必ず事前にメーカーへ相談してください。
モーターへの蒸気侵入を防ぐONIKAZEの工夫
赤松電機製作所のONIKAZEミストコレクターには、モーター内部へミストや蒸気が入り込みにくくするための工夫が施されています。
ただし、蒸気の吸引は本来用途とは異なるため、使用条件の確認は必要です。
そのうえで、各シリーズの構造上の工夫を紹介します。
ヘビースモーカー|HVS
ヘビースモーカー HVSシリーズでは、羽根車の裏側に別の羽根を装備しています。
この構造により、外気をミストコレクター内へ取り込み、内部の気体やミストがモーター側へ進入しにくくしています。
その結果、モーター周辺を相対的に乾燥した状態に保ちやすくなります。
HVSシリーズは、以下のような現場に向いています。
- 油煙が発生している現場
- 油性切削油を使用している現場
- 高捕集を重視する現場
- モーター側へのミスト進入を抑えたい現場
- 油煙とオイルミストを同時に対策したい現場
油煙やオイルミストが発生する現場では、HVSシリーズが有効な選択肢です。
PRODUCT MOVIE
油煙やオイルミストが発生する現場に対応する、HVSシリーズの紹介動画です。
約30秒で特長をご覧いただけます。
スマートミストマジック|SMG
スマートミストマジック SMGシリーズでは、モーターの軸貫通部にオイルシールを装備しています。
軸貫通部は、ミストや蒸気がモーター内部へ進入しやすい箇所です。
そのため、オイルシールを装備することで、ミストコレクター内部のミストなどがモーター内部へ入り込みにくくなります。
SMGシリーズは、以下のような現場に向いています。
- 省エネ性を重視する現場
- 電気代を抑えたい現場
- CO2排出量を抑えたい現場
- メンテナンス負担を軽減したい現場
- モーター内部へのミスト侵入を抑えたい現場
省エネやランニングコストを重視する場合は、SMGシリーズが有効な選択肢です。
PRODUCT MOVIE
消費電力の削減やCO2排出量の低減を重視する現場に向けた、SMGシリーズの紹介動画です。
約30秒で特長をご覧いただけます。
スマートミストゼロ|SMX
スマートミストゼロ SMXシリーズは、シーリング構造により、ミストがモーター内部へ入り込みにくい構造になっています
高いミスト分離効率とメンテナンス負担の軽減を両立しています。
SMXシリーズは、以下のような現場に向いています。
- 微細なオイルミストを捕集したい現場
- メンテナンス負担を軽減したい現場
- 省人化・省力化を進めたい現場
- 高捕集とメンテナンス性を両立したい現場
- 保守管理を効率化したい現場
微細ミスト対策や省力化を重視する場合は、SMXシリーズが有効な選択肢です。
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微細なオイルミスト対策や、メンテナンス負担の軽減を重視する現場に向けた、SMXシリーズの紹介動画です。
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蒸気吸引時の対策を比較
蒸気を吸引する場合は、複数の対策を組み合わせることが重要です。
以下の表で、主な対策と目的を整理します。
このように、蒸気対策では、吸引だけでなく冷却・結露・排水・安全確認をセットで考える必要があります。
ミストコレクターで蒸気を吸引する際のよくある質問
ここでは、ミストコレクターで蒸気を吸引する際のよくある質問をまとめます。
ミストコレクターで蒸気を完全に捕集できますか?
ミストコレクターで蒸気を完全に捕集することは難しい場合があります。
本来、オイルミストや油煙を捕集する装置であり、水蒸気そのものを処理する装置ではないためです。
ただし、二次空気の導入や配管設計によって、捕捉効率を改善できる可能性があります。
蒸気を吸引すると故障しますか?
条件によっては故障する可能性があります。
特に、蒸気が結露してモーター内部に入り込むと、錆びや焼損につながる場合があります。
また、高温蒸気を吸入可能温度以上で吸い続けると、内部部品の劣化や故障につながる可能性があります。
蒸気を吸引する場合に最初に確認すべきことは何ですか?
まず確認すべきことは、蒸気の温度と吸入可能温度です。
そのうえで、洗浄液のpH、加工室容積、ワークに付着している液体、有機溶剤や石油系液体の有無を確認しましょう。
二次空気を取り込むと何が改善されますか?
二次空気を取り込むことで、高温の蒸気を外気で冷却し、結露させやすくなります。
その結果、蒸気の捕捉効率を改善できる可能性があります。
ただし、結露水が発生するため、ドレン排出や逆流防止も同時に検討する必要があります。
有機溶剤を含む蒸気を吸引してもよいですか?
有機溶剤や石油系液体を含む蒸気を通常のミストコレクターで吸引するのは危険です。
引火や爆発のリスクがあるため、防爆対応や安全対策を含めて検討する必要があります。
このような場合は、必ず事前にメーカーへ相談してください。
まとめ|蒸気吸引は温度・結露・安全性を確認して判断する
ミストコレクターは、工作機械から発生するオイルミストや油煙を吸引・除去する装置です。
そのため、蒸気は本来の捕集対象とは異なります。
蒸気を完全に捕集することは難しい場合がありますが、二次空気を取り込むなどの対策によって、捕捉効率を改善できる可能性があります。
ただし、蒸気を吸引する場合は、以下のリスクに注意が必要です。
- モーターの錆び・焼損
蒸気が結露し、モーター内部に水分が入り込むと故障につながる可能性があります。 - 高温による部品劣化
吸入可能温度を超えた蒸気を吸い続けると、内部部品の劣化や故障につながる可能性があります。 - 結露水の逆流・漏水
冷却によって発生した結露水の排出経路を確保する必要があります。 - 腐食リスク
洗浄液のpHによっては、内部部品の腐食につながる可能性があります。 - 引火・爆発リスク
有機溶剤や石油系液体を含む場合は、防爆対応を含めた検討が必要です。
このように、蒸気吸引では、吸入温度・結露・排水・洗浄液の性質・危険物の有無を確認することが重要です。
そのため、蒸気吸引に不安がある場合は、事前に使用条件を整理したうえで、メーカーに相談することをおすすめします。
お問い合わせ
赤松電機製作所のONIKAZEミストコレクターには、モーター内部へのミストや蒸気の進入を抑えるための工夫が施されています。
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