アーク溶接とは?溶接の種類と溶接ヒューム対策装置を紹介!
アーク溶接は、製造業や建築、造船など幅広い分野で利用されている代表的な溶接方法です。
母材と電極の間に発生させたアーク放電の高熱を利用します。その熱で母材や溶加材を溶かし、金属同士を接合します。
また、この溶接には複数の方式があります。代表例は、被覆アーク、TIG、MIG、MAG、サブマージアークなどです。
一方、金属アーク溶接等作業では溶接ヒュームが発生します。そのため、溶接方法だけでなく、作業者のばく露を減らす対策も重要です。
本記事では、溶接の基本分類・アーク溶接の仕組み・主な方式・使用される場面・溶接ヒュームとの関係を順番に解説します。
INFORMATION DATE
法令・制度に関する記載は2026年9月18日時点で確認した厚生労働省等の公開情報に基づいています。法令や制度は改正される可能性があります。実務では必ず最新の公的情報をご確認ください。

KEY POINTS
アーク溶接を理解する3つのポイント
仕組み
アーク放電による高熱を利用して母材を溶融・接合する。
種類
被覆アーク、TIG、MIG・MAGなど複数の方式がある。
安全対策
溶接ヒューム、アーク光、火花などへの対策も必要。
- 01. まず確認|溶接は「融接・圧接・ろう接」に分類できる
- 02. アーク溶接とは?放電による高熱で金属を接合する方法
- 03. 代表的な溶接方式
- 04. どのような産業で使われる?
- 05. 金属アーク溶接等作業と溶接ヒューム規制
- 06. 作業時に考えたい主な安全対策
- 07. 溶接ヒュームを発生源付近で捕集する
- 08. ONIKAZEのヒュームコレクター
- 09. よくある質問|アーク溶接の基本
- 10. まとめ|仕組みとヒューム対策をあわせて理解する
まず確認|溶接は「融接・圧接・ろう接」に分類できる
溶接には数多くの方法があります。接合の仕組みから見ると、大きく融接・圧接・ろう接の3つに分類できます。
FUSION WELDING
融接
母材の接合部を加熱して溶融させます。その後、金属が凝固することで接合する方法です。アーク溶接はこのグループに含まれます。
PRESSURE WELDING
圧接
熱や摩擦などを利用します。さらに、接合部へ機械的な圧力を加えて接合する方法です。
BRAZING / SOLDERING
ろう接
母材をほとんど溶かさずに接合します。母材より融点の低い溶加材を溶かして使用する方法です。ろう付やはんだ付が含まれます。
つまり、「溶接」という大きなカテゴリーの中に、さまざまな接合法があります。アーク溶接はその中の融接に位置づけられます。

アーク溶接とは?放電による高熱で金属を接合する方法
アーク溶接とは、気体中の放電現象であるアーク放電の高熱を利用して金属を接合する方法です。
一般的には、母材と電極の間にアークを発生させます。その熱で母材や溶加材を溶融させます。
そして、溶けた金属が冷えて凝固します。その結果、接合部分が一体化します。
HOW IT WORKS
1.母材と電極の間にアークを発生させる
2.アークの高熱で母材・溶加材を溶融させる
3.溶融した金属が冷えて凝固する
4.金属同士が一体化して接合される
このように、接着剤で材料同士を貼り合わせる方法とは仕組みが異なります。
代表的な溶接方式
電極やシールド方法などの違いによって、複数の方式があります。
SMAW
被覆アーク
被覆剤で覆われた溶接棒を電極として使用する代表的な方式です。
TIG
TIG溶接
タングステン電極を使用します。不活性ガスでアーク周辺をシールドする方式です。
MIG / MAG
MIG・MAG溶接
連続送給するワイヤを電極として使います。シールドガスで溶接部を保護します。
SAW
サブマージアーク
粒状のフラックスでアーク部分を覆いながら接合する方式です。
また、このほかにセルフシールド方式やエレクトロガス方式などもあります。
そのため、一つの方式だけが使われるわけではありません。材料や板厚、作業姿勢などに応じて選びます。必要な品質や生産性も選定条件です。

どのような産業で使われる?
この接合法は、幅広い金属材料や構造物に利用されています。さまざまな産業で使われている方法です。
自動車
造船
建築・鉄骨
鉄道車両
機械・金属加工
例えば、大型構造物から機械部品まで用途はさまざまです。必要な品質や作業条件に応じて、適した方式を使い分けます。
一方、作業時には高熱や強いアーク光が発生します。さらに、火花・スパッタや溶接ヒュームへの対策も必要です。
金属アーク溶接等作業と溶接ヒューム規制
金属アーク溶接等作業で発生する溶接ヒュームは、2021年4月1日から特定化学物質(第2類物質)として規制対象になっています。
ここで重要なのは、溶接方法そのものが特定化学物質になったわけではないことです。
規制対象は、対象作業で加熱によって発生する粒子状物質である溶接ヒュームです。
対象は溶接だけではない
また、法令上の対象には金属をアーク溶接する作業だけでなく、アークを用いた溶断やガウジングなども含まれます。
LEGAL POINT
「すべて同じ対応」と単純化せず、作業場所や作業方法を確認します。継続性や作業方法の変更も含めて、必要な措置を判断します。
例えば、屋内作業場で対象作業を行う場合は、全体換気またはこれと同等以上の措置が必要です。
さらに、継続して行う屋内作業場では濃度測定が関係する場合があります。作業方法を新たに採用・変更するときなどが対象です。
OFFICIAL INFORMATION
厚生労働省|特定化学物質障害予防規則を確認する →作業時に考えたい主な安全対策
作業時には、溶接ヒュームだけでなく、アーク光や熱も発生します。火花・スパッタなどにも注意が必要です。
FUME
溶接ヒューム
換気、発生源での捕集、呼吸用保護具などでばく露を減らします。
ARC LIGHT
強いアーク光
適切な遮光保護具を使用します。裸眼でアークを直視しないようにします。
SPATTER
火花・スパッタ
火傷や火災を防ぐため、保護具を使用します。周囲の可燃物も管理します。
なお、本記事ではアーク溶接の基本を中心に解説しています。法令、健康診断、濃度測定などは、それぞれの専門記事で確認できます。
溶接ヒュームを発生源付近で捕集する
溶接ヒューム対策の一つとして、作業場へ広がる前に発生源付近で吸引・捕集する方法があります。
そこで使用される装置の一つがヒュームコレクターです。

ヒュームコレクターは、溶接ヒュームを吸引し、装置内部で捕集します。
ただし、装置を設置するだけですべての対策が完了するわけではありません。まず、吸引位置や必要風量を確認します。また、火花・スパッタや換気状況も重要です。呼吸用保護具を含めて検討します。
ONIKAZEのヒュームコレクター
赤松電機製作所では、溶接ヒューム対策向けにFSMシリーズとFM-220を展開しています。
よくある質問|アーク溶接の基本
仕組みや種類、溶接ヒュームとの関係について、よく確認されるポイントをまとめます。
仕組み・種類に関する質問
Q.アーク溶接とは何ですか?
Q.どの分類に入りますか?
Q.代表的な方式は何ですか?
溶接ヒューム・安全対策に関する質問
Q.溶接方法そのものが特定化学物質なのですか?
Q.法令上の対象には何が含まれますか?
Q.ヒュームコレクターだけで対策は十分ですか?
まとめ|仕組みとヒューム対策をあわせて理解する
アーク溶接は、アーク放電による高熱で母材や溶加材を溶融させ、金属同士を接合する方法です。
まず、溶接を接合の仕組みから分けると、融接・圧接・ろう接の3つがあります。この方法は融接に分類されます。
また、被覆アーク、TIG、MIG、MAG、サブマージアークなど複数の方式があります。
一方、金属をアークで接合する作業では溶接ヒュームが発生します。そのため、作業者の安全衛生にも目を向ける必要があります。
さらに、換気や発生源での捕集も重要です。呼吸用保護具なども作業条件に合わせて組み合わせます。
つまり、アーク溶接の仕組みと、作業時に発生するヒュームや火花への対策をあわせて考えることが重要です。