溶接ヒュームの濃度測定とは?測定方法と対策装置を紹介!
溶接ヒュームの濃度測定は、作業者がどの程度ヒュームにばく露しているかを把握し、必要な対策や呼吸用保護具を判断するための重要な手順です。
ただし、すべての溶接作業で常に同じ測定が必要になるわけではありません。金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場で、作業方法を新たに採用したり、溶接方法・材料・作業場所などを変更したりする場合に、規定に基づく濃度測定が関係します。
測定では、作業者の身体に試料採取機器を装着し、実際の作業中に溶接ヒュームを採取します。その結果をもとに、換気等の措置や呼吸用保護具の選定を行います。
本記事では、いつ測るのか・どのように測るのか・0.05mg/m³をどう見るのか・測定後に何をするのかを順番に整理します。
INFORMATION DATE
法令・制度に関する記載は2026年9月18日時点で確認した厚生労働省等の公開情報に基づいています。制度改正等により内容が変更される可能性があるため、実務では必ず最新の厚生労働省情報をご確認ください。

KEY POINTS
測定は「測って終わり」ではない
測定
作業者のばく露状況を確認する。
対策
結果に応じて換気等の措置を検討する。
保護具
測定結果から要求防護係数を算定し選定する。
- 01. いつ測る?濃度測定が関係するタイミング
- 02. どう測る?個人ばく露測定の基本
- 03. 0.05mg/m³はどう見る?測定結果の考え方
- 04. 測定から対策までの流れ
- 05. 測定後に見直す主な対策
- 06. 発生源対策として使うヒュームコレクター
- 07. ONIKAZEのヒュームコレクター
- 08. よくある質問|溶接ヒュームの濃度測定
- 09. まとめ|濃度測定・対策・保護具選定を一連で考える
いつ測る?濃度測定が関係するタイミング
金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場では、一定のタイミングで溶接ヒューム濃度の測定が必要になります。
そのため、代表的なのは、作業方法を新たに採用するときと、溶接ヒューム濃度に大きな影響を与える変更を行うときです。
「変更」に含まれる主な例
- 溶接方法を変更する
- 溶接材料や母材を変更し、濃度に大きな影響が見込まれる
- 溶接作業場所を変更し、濃度に大きな影響が見込まれる
つまり、単に「屋内で溶接しているから毎回測る」という考え方ではなく、規定上の対象となる作業場と変更内容を確認して判断します。
OFFICIAL INFORMATION
厚生労働省|溶接ヒュームに係る規制の追加を確認する →どう測る?個人ばく露測定の基本
溶接ヒュームの濃度測定では、作業者の身体に試料採取機器を装着して、実際の作業中の空気を採取します。
採取口は呼吸域へ装着する
まず、試料採取機器の採取口は、作業者が呼吸する空気中の溶接ヒューム濃度を測るのに適した位置へ装着します。溶接面を使用する場合は、採取口が溶接面の内側になるようにします。
均等ばく露作業ごとに対象者を選ぶ
また、ばく露される溶接ヒューム量がほぼ均一と見込まれる「均等ばく露作業」ごとに測定します。原則として代表性を確保したうえで、2人以上の労働者を対象にします。
一の作業日に従事する全時間で採取する
さらに、濃度測定は、原則として一の作業日において金属アーク溶接等作業に従事する全時間について行います。作業の途中だけを切り取るのではなく、実際のばく露状況を反映させる考え方です。
測定には専門知識が必要
なお、試料採取方法や測定方法、機器選定には専門知識が必要です。実施者については制度改正もあるため、測定を依頼する時点の最新要件を確認する必要があります。

※出典: 厚生労働省 岡山労働局労働基準部 健康安全課
0.05mg/m³はどう見る?測定結果の考え方
測定後は、溶接ヒューム中のマンガン濃度を確認します。
まず、ここで使われる0.05mg/m³は、呼吸用保護具の要求防護係数を算定するときの基準値です。
そして、測定で得られたマンガン濃度の最大値を0.05で割って要求防護係数を算定します。
CALCULATION
要求防護係数 = 測定したマンガン濃度の最大値 ÷ 0.05
例:0.10mg/m³ ÷ 0.05mg/m³ = 2
0.05mg/m³以上なら換気等の措置を検討する
そのため、要求防護係数が1以上、つまり測定したマンガン濃度の最大値が0.05mg/m³以上となる場合には、換気装置の風量増加など必要な措置を講じます。
その結果、換気等の措置を実施した場合は、効果を確認するために再度濃度測定を行います。
0.05mg/m³未満でも保護具が不要とは限らない
一方、0.05mg/m³未満であっても、呼吸用保護具が不要になるわけではありません。
測定結果から要求防護係数を算定し、その値を上回る指定防護係数を持つ呼吸用保護具を選定します。
したがって、0.05mg/m³を単純な「安全・危険の線引き」とだけ考えないことが重要です。
測定から対策までの流れ
結果を確認し、必要な措置や保護具の選定につなげるまでが濃度測定の一連の流れです。
STEP 1
作業方法の新規採用・変更内容を確認
STEP 2
溶接ヒューム濃度を測定
STEP 3
結果に応じて換気等の措置を実施
STEP 4
措置を講じた場合は再測定
STEP 5
要求防護係数から呼吸用保護具を選定

※出典: 厚生労働省 愛知労働局労働基準部 健康安全課
測定後に見直す主な対策
次に、測定結果を踏まえて、発生源・換気・作業方法を見直し、作業者のばく露を下げる対策を検討します。
VENTILATION
換気の見直し
換気装置の風量増加などを検討する。
PROCESS
作業方法の見直し
溶接方法や材料など、発生量に影響する条件を確認する。
SOURCE CONTROL
発生源での捕集
集じん装置やヒュームコレクターで広がる前に捕集する。
例えば、ヒュームが作業者の呼吸域へ流れる前に吸引できれば、作業場へ拡散する量を抑えやすくなります。
ただし、必要な対策は測定結果と現場条件によって異なるため、装置を導入するだけで完結するものではありません。
発生源対策として使うヒュームコレクター
そこで活用できる方法の一つが、ヒュームコレクターです。溶接ヒュームを発生源付近から吸引・捕集するために使用します。
例えば、濃度測定の結果を受けて対策を見直す場合、換気だけでなく、ヒュームを広がる前に捕集する方法として検討できます。

なお、選定では、必要風量、吸引位置、作業者の動線、火花やスパッタの状況などを確認します。
ONIKAZEのヒュームコレクター
赤松電機製作所では、溶接ヒューム対策向けにFSMシリーズとFM-220を展開しています。
よくある質問|溶接ヒュームの濃度測定
濃度測定を検討するときによく確認されるポイントをまとめます。
測定に関する質問
Q.溶接ヒュームの濃度測定はいつ必要ですか?
Q.測定はどのように行いますか?
Q.測定を依頼するときは何を確認しますか?
測定結果・対策に関する質問
Q.0.05mg/m³未満なら対策は不要ですか?
Q.0.05mg/m³以上だった場合はどうしますか?
Q.ヒュームコレクターも対策になりますか?
まとめ|濃度測定・対策・保護具選定を一連で考える
溶接ヒュームの濃度測定は、作業者のばく露状況を確認し、その後の対策や呼吸用保護具の選定につなげるために行います。
まず、作業方法を新たに採用・変更する場合など、規定上のタイミングで個人ばく露測定を行い、マンガン濃度を確認します。
そのうえで、測定結果が0.05mg/m³以上となる場合は、換気装置の風量増加など必要な措置を検討し、措置後は再測定します。
さらに、測定結果から要求防護係数を算定し、それを上回る指定防護係数を持つ呼吸用保護具を選定します。
つまり、測定・必要な措置・再測定・保護具選定までを一連で管理することが重要です。