ミストコレクターの構造とは?種類別の仕組みと設置方法を解説!

ミストコレクター
アイコン 投稿日: 2022/2/28 アイコン 更新日: 2026/9/17

ミストコレクターとは、工作機械から発生するオイルミストや油煙を吸引し、装置内部で分離・捕集する設備です。

一方で、同じ「ミストコレクター」でも、内部でミストを捕集する仕組みは同じではありません。代表的な構造には、フィルター式・フィルターレス式・電気集塵式があります。

そのため、構造が違えば、ミストを捕集する方法だけでなく、メンテナンス方法や運用時の確認ポイントも変わります。

本記事では、方式ごとのメリット・デメリットを広く比較するのではなく、「装置の中で空気とミストがどう流れ、どこで捕集されるのか」を中心に整理します。

フィルター式・フィルターレス式・電気集塵式など、ミストコレクター内部の捕集構造を解説するイメージ

STRUCTURE GUIDE

構造を見るときの3つのポイント

01 / AIRFLOW

空気の流れ

どこから吸い込み、どこを通って排気するか。

02 / SEPARATION

分離・捕集

フィルター、遠心力、静電気など何で捕るか。

03 / DRAIN

捕集後の処理

捕集した油分や汚れをどう処理するか。

内部構造を見る前に|ミストコレクターの基本的な流れ

まず、方式が違っても、ミストコレクターは「吸引する・分離する・排気する」という流れで空気を処理します。

  1. 吸引
    ファンで、オイルミストを含む空気を装置内部へ取り込みます。
  2. 前段で大きな粒子を分離
    機種の構造に応じて、大きな油滴や切粉などを前段で分離します。
  3. ミストを捕集
    フィルター、遠心力、回転体、静電気などを使って油分を空気から分離します。
  4. 捕集後の油分を処理
    回収した油分をドレンとして排出したり、内部で処理したりします。
  5. 空気を排気
    捕集後の空気を装置外へ排気します。

つまり、違いが出るのは、主に「3. ミストを捕集する部分」と「4. 捕集した油分を処理する部分」です。ここを見ると、それぞれの構造の特徴を理解しやすくなります。

代表的な捕集構造は3種類

ミストコレクターの代表的な捕集構造は、フィルター式・フィルターレス式・電気集塵式の3つです。

フィルター式
フィルターに空気を通し、油分や微細粒子をろ過・捕集する。
フィルターレス式
遠心力や回転体などを使い、油分と空気を物理的に分離する。
電気集塵式
粒子を帯電させ、静電気の力で電極へ吸着・捕集する。

なお、ここでは構造の理解に重点を置きます。方式ごとの選び方や向いている現場を詳しく比較したい場合は、種類の記事で確認できます。

フィルター式・フィルターレス式・電気集塵式の3つの捕集構造を比較する図

フィルターで捕る|フィルター式の内部構造

フィルター式は、吸い込んだ空気をフィルターに通し、オイルミストや油分をろ過・捕集する構造です。

空気は複数の捕集段階を通る

また、機種によって構成は異なりますが、前段で大きな粒子を処理し、その後のフィルターでより細かなミストを捕集する考え方が基本です。

さらに、フィルターの種類や段数によって、捕集対象やメンテナンス条件が変わります。

構造上の確認ポイント

  • どの位置にフィルターが配置されているか
  • フィルターが何段構成になっているか
  • 油煙まで対応するフィルターを備えているか
  • フィルター交換や清掃をどこから行うか
  • 捕集した油分をどのように排出するか

そのため、フィルター式の詳しいメリット・デメリットや交換・目詰まりについては、フィルター式専用の記事で詳しく整理しています。

HVSは段階的に捕集するフィルター式

赤松電機製作所のオニカゼ ヘビースモーカー HVSシリーズは、油煙やオイルミストが発生する現場に対応したフィルター式ミストコレクターです。

元記事では、ONIKAZE独自の段階的捕集構造によって各フィルターへの負担を分散し、標準仕様で油煙対策に対応する構成として紹介されています。

フィルター式ミストコレクターHVSの製品外観

FILTER TYPE

ヘビースモーカー HVS

段階的な捕集とファイナルフィルターを組み合わせた構成です。

HVSの製品詳細を見る →

遠心力・回転体で分ける|フィルターレス式の内部構造

フィルターレス式は、フィルターの使用を抑え、遠心力や回転体などを利用してオイルミストを空気から分離する構造です。

遠心分離方式の考え方

遠心分離方式では、吸い込んだミストを旋回させ、遠心力を利用して油分と空気を分離します。分離した油分は内部で回収し、空気は次の工程へ送られます。

回転体を使う方式の考え方

回転体を使う方式では、ディスクなどを回転させ、ミストを衝突・分離させることで油分を捕集します。

一方で、フィルターを主な捕集手段にしないため、フィルター交換の考え方はフィルター式と異なります。一方で、捕集できる粒子や油煙への対応は機種ごとに確認する必要があります。

SMGとSMXは捕集機構が異なる

赤松電機製作所のフィルターレス系には、SMGシリーズとSMXシリーズがあります。どちらもフィルター式とは異なる考え方でミストを分離しますが、内部機構は同じではありません。

フィルターレス式ミストコレクターSMGの製品外観

SEPARATOR TYPE

スマートミストマジック SMG

マジックセパレーター機構を使い、ミスト・切粉・スラッジを内部に溜めにくい構成です。

SMGの製品詳細を見る →
フィルターレス式ミストコレクターSMXの製品外観

ROTARY TYPE

スマートミストゼロ SMX

ロータリーマジック機構によってミストを捕集しながら弾き飛ばす構成です。

SMXの製品詳細を見る →

したがって、省エネ性やメンテナンス性を詳しく比較したい場合は、構造だけで判断せず、種類・選定の記事まで確認するのがおすすめです。

静電気で吸着する|電気集塵式の内部構造

電気集塵式は、高電圧でオイルミスト粒子を帯電させ、静電気の力で電極へ吸着・捕集する構造です。

帯電から捕集までの流れ

  1. 装置内部でコロナ放電を発生させる
  2. オイルミスト粒子を帯電させる
  3. 帯電した粒子を集塵極板へ引き寄せる
  4. 電極に付着した油分を定期的に清掃する

つまり、フィルターでろ過する方式とは違い、電気の力で粒子を電極へ付着させる点が大きな特徴です。

構造上は電極の管理が重要

電気集塵式では、捕集性能だけでなく、電極の汚れや洗浄、安全管理まで含めて運用する必要があります。

そのため、構造を比較するときは「フィルター交換があるか」だけでなく、どの部品を、どの頻度で、どのように保守するかを見ることが重要です。

構造の違いはメンテナンス箇所にも表れる

3つの方式では、ミストを捕集する部品が違うため、日常点検やメンテナンスで見る場所も変わります。

フィルター式

フィルターの汚れ、目詰まり、交換時期、ドレンの状態などを確認します。

フィルターレス式

分離部や回転体、内部への汚れの蓄積、回収した油分の状態などを確認します。

電気集塵式

電極の汚れ、洗浄状態、高電圧部を含む保守条件を確認します。

つまり、構造の違いは捕集性能だけでなく、保全担当者が日常的に管理する箇所の違いにもつながります。

捕集対象のオイルミストも構造選びに関係する

ミストコレクターの構造を理解するときは、捕集するオイルミストの状態もあわせて確認する必要があります。

例えば、オイルミストは、切削油や潤滑油が加工中に微細化し、空気中に浮遊した油の粒子です。加工条件によって粒子の状態や発生量が変わるため、同じ構造がすべての現場に同じように適するとは限りません。

また、油煙が発生する現場では、通常のミストより細かな油分を含むことがあるため、油煙への対応可否も確認します。

オイルミストが作業環境や設備へ与える影響を示す図

人体・作業環境・設備への影響は、専用記事で詳しく解説しています。

オイルミストの悪影響を詳しく見る →

内部構造と設置方法は分けて考える

ミストコレクター本体の構造と、工作機械への設置方法は別の要素です。

ただし、本体の捕集方式が適していても、吸引位置やダクトの取り回しが合っていなければ、ミストを十分に装置まで運べない場合があります。

そこで、代表的な設置方法として、直結吸気・局所吸気・広域吸気があります。ここでは役割だけを整理し、詳しい設計や注意点は設置方法の記事に分けます。

直結吸気・局所吸気・広域吸気の3つのミストコレクター設置方法を示す図

直結吸気

密閉された加工室から直接吸引する。

局所吸気

開放された発生源付近で吸引する。

広域吸気

工場内に残ったミストを補助的に回収する。

構造を選ぶときに確認したい4項目

構造だけで機種を決めるのではなく、実際の加工条件と運用条件を組み合わせて判断します。

01 / MIST

捕集対象

通常のミストか、油煙まで発生しているか。

02 / PROCESS

加工条件

切削油、加工方法、粉塵やスラッジの有無。

03 / SERVICE

メンテナンス

交換・清掃をどの程度行えるか。

04 / INSTALL

設置条件

必要風量、設置スペース、ダクト条件。

さらに、必要風量や設置条件まで含めた具体的な選び方は、選定方法の記事で確認できます。

よくある質問|ミストコレクターの構造

ここでは、ミストコレクターの内部構造についてよくある疑問をまとめます。

基本構造に関する質問

Q.ミストコレクターの代表的な構造は何種類ですか?
代表的には、フィルター式・フィルターレス式・電気集塵式の3種類があります。それぞれ、ミストを分離・捕集する方法が異なります。
Q.フィルター式はどこでミストを捕集しますか?
吸い込んだ空気をフィルターに通し、フィルター部分で油分や粒子をろ過・捕集します。機種によってフィルターの種類や段数が異なります。
Q.フィルターレス式はフィルターを全く使わないのですか?
フィルターの使用を抑え、遠心力や回転体などで分離する方式を指します。実際の構成やアフターフィルターの有無は機種ごとに確認が必要です。

選定・メンテナンスに関する質問

Q.構造によってメンテナンス方法は変わりますか?
変わります。フィルター式ではフィルター、フィルターレス式では分離部や回転体、電気集塵式では電極など、主に確認する箇所が異なります。
Q.油煙がある場合は構造だけ見ればよいですか?
構造名だけでは判断できません。油煙への対応可否、フィルター構成、加工条件、必要風量などを含めて確認します。
Q.構造と設置方法はどちらを先に決めますか?
片方だけで決めるのではなく、加工条件・捕集対象・必要風量・設置方法を合わせて検討します。

まとめ|構造を見ると捕集とメンテナンスの違いがわかる

ミストコレクターの代表的な構造は、フィルター式・フィルターレス式・電気集塵式です。

  • フィルター式:フィルターでろ過・捕集する
  • フィルターレス式:遠心力や回転体などで分離する
  • 電気集塵式:粒子を帯電させ、静電気で電極へ吸着する

また、構造の違いは、捕集方法だけでなく、交換・清掃する部品や日常点検の内容にもつながります。

そのため、実際の機種選定では、構造だけでなく、捕集対象・加工条件・必要風量・設置方法・メンテナンス体制を合わせて確認することが重要です。

NEXT ACTION

自社の加工条件に合う構造を確認する

製品の構造・風量・設置条件を確認しながら候補を絞れます。

▲HVSでドライアイス吸ってみた!【赤松電機製作所】

監修者プロフィール

経営企画室/インサイドセールス

倉津 裕太

赤松電機製作所に入社後、営業部にて西日本エリアを担当し、切削・研削現場におけるミスト対策、溶接現場におけるヒューム対策の提案営業に従事。
現在は経営企画室 /インサイドセールスとして、製造業の現場課題に対する情報提供を行うとともに、脱炭素経営PROJECTにも参画。
現場と経営の両視点から、ミスト・ヒューム対策や省エネを含めた工場環境改善に関する、導入検討に役立つ実務情報を発信している。

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