ミストコレクターの構造とは?種類別の仕組みと設置方法を解説!
ミストコレクターとは、工作機械から発生するオイルミストや油煙を吸引し、装置内部で分離・捕集する設備です。
一方で、同じ「ミストコレクター」でも、内部でミストを捕集する仕組みは同じではありません。代表的な構造には、フィルター式・フィルターレス式・電気集塵式があります。
そのため、構造が違えば、ミストを捕集する方法だけでなく、メンテナンス方法や運用時の確認ポイントも変わります。
本記事では、方式ごとのメリット・デメリットを広く比較するのではなく、「装置の中で空気とミストがどう流れ、どこで捕集されるのか」を中心に整理します。

STRUCTURE GUIDE
構造を見るときの3つのポイント
01 / AIRFLOW
空気の流れ
どこから吸い込み、どこを通って排気するか。
02 / SEPARATION
分離・捕集
フィルター、遠心力、静電気など何で捕るか。
03 / DRAIN
捕集後の処理
捕集した油分や汚れをどう処理するか。
内部構造を見る前に|ミストコレクターの基本的な流れ
まず、方式が違っても、ミストコレクターは「吸引する・分離する・排気する」という流れで空気を処理します。
- 吸引
ファンで、オイルミストを含む空気を装置内部へ取り込みます。 - 前段で大きな粒子を分離
機種の構造に応じて、大きな油滴や切粉などを前段で分離します。 - ミストを捕集
フィルター、遠心力、回転体、静電気などを使って油分を空気から分離します。 - 捕集後の油分を処理
回収した油分をドレンとして排出したり、内部で処理したりします。 - 空気を排気
捕集後の空気を装置外へ排気します。
つまり、違いが出るのは、主に「3. ミストを捕集する部分」と「4. 捕集した油分を処理する部分」です。ここを見ると、それぞれの構造の特徴を理解しやすくなります。
代表的な捕集構造は3種類
ミストコレクターの代表的な捕集構造は、フィルター式・フィルターレス式・電気集塵式の3つです。
なお、ここでは構造の理解に重点を置きます。方式ごとの選び方や向いている現場を詳しく比較したい場合は、種類の記事で確認できます。
RELATED GUIDE
ミストコレクターの種類と違いを詳しく見る →
フィルターで捕る|フィルター式の内部構造
フィルター式は、吸い込んだ空気をフィルターに通し、オイルミストや油分をろ過・捕集する構造です。
空気は複数の捕集段階を通る
また、機種によって構成は異なりますが、前段で大きな粒子を処理し、その後のフィルターでより細かなミストを捕集する考え方が基本です。
さらに、フィルターの種類や段数によって、捕集対象やメンテナンス条件が変わります。
構造上の確認ポイント
- どの位置にフィルターが配置されているか
- フィルターが何段構成になっているか
- 油煙まで対応するフィルターを備えているか
- フィルター交換や清掃をどこから行うか
- 捕集した油分をどのように排出するか
そのため、フィルター式の詳しいメリット・デメリットや交換・目詰まりについては、フィルター式専用の記事で詳しく整理しています。
HVSは段階的に捕集するフィルター式
赤松電機製作所のオニカゼ ヘビースモーカー HVSシリーズは、油煙やオイルミストが発生する現場に対応したフィルター式ミストコレクターです。
元記事では、ONIKAZE独自の段階的捕集構造によって各フィルターへの負担を分散し、標準仕様で油煙対策に対応する構成として紹介されています。

遠心力・回転体で分ける|フィルターレス式の内部構造
フィルターレス式は、フィルターの使用を抑え、遠心力や回転体などを利用してオイルミストを空気から分離する構造です。
遠心分離方式の考え方
遠心分離方式では、吸い込んだミストを旋回させ、遠心力を利用して油分と空気を分離します。分離した油分は内部で回収し、空気は次の工程へ送られます。
回転体を使う方式の考え方
回転体を使う方式では、ディスクなどを回転させ、ミストを衝突・分離させることで油分を捕集します。
一方で、フィルターを主な捕集手段にしないため、フィルター交換の考え方はフィルター式と異なります。一方で、捕集できる粒子や油煙への対応は機種ごとに確認する必要があります。
SMGとSMXは捕集機構が異なる
赤松電機製作所のフィルターレス系には、SMGシリーズとSMXシリーズがあります。どちらもフィルター式とは異なる考え方でミストを分離しますが、内部機構は同じではありません。
したがって、省エネ性やメンテナンス性を詳しく比較したい場合は、構造だけで判断せず、種類・選定の記事まで確認するのがおすすめです。
静電気で吸着する|電気集塵式の内部構造
電気集塵式は、高電圧でオイルミスト粒子を帯電させ、静電気の力で電極へ吸着・捕集する構造です。
帯電から捕集までの流れ
- 装置内部でコロナ放電を発生させる
- オイルミスト粒子を帯電させる
- 帯電した粒子を集塵極板へ引き寄せる
- 電極に付着した油分を定期的に清掃する
つまり、フィルターでろ過する方式とは違い、電気の力で粒子を電極へ付着させる点が大きな特徴です。
構造上は電極の管理が重要
電気集塵式では、捕集性能だけでなく、電極の汚れや洗浄、安全管理まで含めて運用する必要があります。
そのため、構造を比較するときは「フィルター交換があるか」だけでなく、どの部品を、どの頻度で、どのように保守するかを見ることが重要です。
構造の違いはメンテナンス箇所にも表れる
3つの方式では、ミストを捕集する部品が違うため、日常点検やメンテナンスで見る場所も変わります。
フィルター式
フィルターの汚れ、目詰まり、交換時期、ドレンの状態などを確認します。
フィルターレス式
分離部や回転体、内部への汚れの蓄積、回収した油分の状態などを確認します。
電気集塵式
電極の汚れ、洗浄状態、高電圧部を含む保守条件を確認します。
つまり、構造の違いは捕集性能だけでなく、保全担当者が日常的に管理する箇所の違いにもつながります。
捕集対象のオイルミストも構造選びに関係する
ミストコレクターの構造を理解するときは、捕集するオイルミストの状態もあわせて確認する必要があります。
例えば、オイルミストは、切削油や潤滑油が加工中に微細化し、空気中に浮遊した油の粒子です。加工条件によって粒子の状態や発生量が変わるため、同じ構造がすべての現場に同じように適するとは限りません。
また、油煙が発生する現場では、通常のミストより細かな油分を含むことがあるため、油煙への対応可否も確認します。

人体・作業環境・設備への影響は、専用記事で詳しく解説しています。
オイルミストの悪影響を詳しく見る →内部構造と設置方法は分けて考える
ミストコレクター本体の構造と、工作機械への設置方法は別の要素です。
ただし、本体の捕集方式が適していても、吸引位置やダクトの取り回しが合っていなければ、ミストを十分に装置まで運べない場合があります。
そこで、代表的な設置方法として、直結吸気・局所吸気・広域吸気があります。ここでは役割だけを整理し、詳しい設計や注意点は設置方法の記事に分けます。

直結吸気
密閉された加工室から直接吸引する。
局所吸気
開放された発生源付近で吸引する。
広域吸気
工場内に残ったミストを補助的に回収する。
構造を選ぶときに確認したい4項目
構造だけで機種を決めるのではなく、実際の加工条件と運用条件を組み合わせて判断します。
01 / MIST
捕集対象
通常のミストか、油煙まで発生しているか。
02 / PROCESS
加工条件
切削油、加工方法、粉塵やスラッジの有無。
03 / SERVICE
メンテナンス
交換・清掃をどの程度行えるか。
04 / INSTALL
設置条件
必要風量、設置スペース、ダクト条件。
さらに、必要風量や設置条件まで含めた具体的な選び方は、選定方法の記事で確認できます。
よくある質問|ミストコレクターの構造
ここでは、ミストコレクターの内部構造についてよくある疑問をまとめます。
基本構造に関する質問
Q.ミストコレクターの代表的な構造は何種類ですか?
Q.フィルター式はどこでミストを捕集しますか?
Q.フィルターレス式はフィルターを全く使わないのですか?
選定・メンテナンスに関する質問
Q.構造によってメンテナンス方法は変わりますか?
Q.油煙がある場合は構造だけ見ればよいですか?
Q.構造と設置方法はどちらを先に決めますか?
まとめ|構造を見ると捕集とメンテナンスの違いがわかる
ミストコレクターの代表的な構造は、フィルター式・フィルターレス式・電気集塵式です。
- フィルター式:フィルターでろ過・捕集する
- フィルターレス式:遠心力や回転体などで分離する
- 電気集塵式:粒子を帯電させ、静電気で電極へ吸着する
また、構造の違いは、捕集方法だけでなく、交換・清掃する部品や日常点検の内容にもつながります。
そのため、実際の機種選定では、構造だけでなく、捕集対象・加工条件・必要風量・設置方法・メンテナンス体制を合わせて確認することが重要です。
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